2021 Fiscal Year Research-status Report
新規アミノ酸PETプローブによる早期膵癌画像診断法の開発
Project/Area Number |
21K15774
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
山崎 香奈 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 研究員 (50596624)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 新規膵癌PETプローブ / アミノ酸PETプローブ / 膵癌早期発見 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究所での膵癌モデルマウスを用いた[11C]MeLeu非臨床研究では、保険収載されている[18F]FDGと比較したPET画像で、膵癌がより明瞭に描出され、かつ正常膵への集積がないことが既に示されている。当該年度は次段階としてヒトでの検証、応用が目的であり、健常男性被験者6名において[11C]MeLeuのFirst in human試験を施行した。本試験では①ヒトにおける安全性評価、②PET画像診断としての薬剤投与量、撮像時間の妥当性評価、③各臓器と全身の被ばく線量評価、を検討した。検討の結果、①[11C]MeLeu静脈注射前とPET撮像後のバイタルサイン確認、臨床検査(血液及び尿検査)を行い、6名すべての被験者で有害事象が生じないことを確認した。②被験者の体重に応じて最大投与量370MBqまでの[11C]MeLeuを投与し、投与直後から90分間の画像を経時的に得た。各臓器のコントラストのよい画像が得られ、投与量は妥当であったと考える。また各臓器のコントラストが明瞭かつ減衰が進行しすぎていないこと、患者で行う際に可能な限り苦痛を生じさせないことを想定し、静注後20分後程度の撮像が適切であろうと考えられた。③被験者6名の全身推定被ばく線量は平均で4.17±0.21 μSv/MBq、臨床投与量である185-370 MBq投与時の実効線量として0.77-1.54 mSv程度と計測された。同時に撮像する低線量CTの被ばく線量が5mSv程度であり、全体として10mSvを下回ると想定される。これは診療で使用するダイナミックCTと比べて少ない線量である。被ばくの観点からも、安全に施行できることが示された。 さらに、正常膵への薬剤集積は投与20分後でSUVmean=2.4-2.5程度とバックグラウンド程度であり、膵癌描出に期待の持てる製剤であることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は健常者での[11C]MeLeuの安全性、体内薬物動態、被ばく線量を評価することが目標であり、これらの項目について6名の健常被験者で確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
組織学的診断がなされた膵癌患者のうち、量子科学技術研究開発機構 QST病院に来院し、膵癌に対し重粒子線治療を施行予定の患者で、[11C]MeLeu PETを施行する。本試験では①患者における安全性評価、②健常者でのFirst in human試験から得られた薬剤投与量、撮像時間の膵癌患者における妥当性評価、③膵癌PETプローブとしての描出能評価を予定している。 描出能評価に関しては、古くから臨床使用されている[18F]FDG PETも同一患者で撮像されていれば、比較対象としたい。この研究計画については現在CRBに申請相談中であり、今年度上半期には少なくとも1例は組み込みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
物品購入にあたり納期の都合上当該年度に購入できず、次年度助成金が生じてしまった。次年度も引き続き患者でのPET検査のための薬剤合成、薬剤動態などを解明するための組織免疫染色など非臨床POC取得のための助成が必要であり、これらに使用する計画である。
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Research Products
(3 results)