2021 Fiscal Year Research-status Report
造影CTを用いた細胞外容積分画(ECV)による膵線維化の評価と膵臓癌との関係
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21K15784
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福井 秀行 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (00721101)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵臓癌 / 細胞外容積分画 / ECV / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、膵臓の線維化が膵臓癌の危険因子であることが分かってきた。しかし、膵臓は腹部の最も深い所に位置する臓器であることから、実際に膵臓の組織を採取する事が困難という問題がある。最近、造影CTより算出される細胞外容積分画 (extracellular volume fraction:ECV) が心臓,肝臓,膵臓などの領域で組織の線維化を表す指標として期待されている。この研究では、ECVと組織学的膵臓線維化との関係を評価し、膵臓線維化と膵臓癌の存在との関係を調査した。膵臓の手術を受けた患者の中で、術前に造影CTが施行されており、術前化学療法や放射線治療が施行されていない患者を、医療記録から遡及的に収集する。良性腫瘍に対して手術が施行された群と、膵臓癌に対して手術が施行された群に分け、患者の組織(アザン染色したプレパラート)を収集した。顕微鏡を使用し、膵臓の組織の画像ファイルを取得した。それらの画像ファイルを、画像解析ソフトウェア (Bz X Analyzer; Keyence, Osaka, Japan) を用いて膵臓組織の中で線維のみを抽出し、膵臓組織に対する線維の割合を算出した。患者に対して施行された術前の造影CTから膵臓のECVを算出した。膵臓癌との関連が報告されている喫煙、年齢、肥満、慢性膵炎や糖尿病などの疾患、膵臓癌の家族歴を医療記録から調べた。結果として、組織学的膵臓線維症は、ECVと有意に相関していた(r = 0.64、P <0.01)。ECVは、他の疾患患者よりも膵臓癌患者で高かった(P <0.01)。ROC解析では、ECVが膵臓癌診断に対して良好な診断精度を有していることを示した(AUC 0.77 カットオフ値 32.8;感度0.61、特異度0.85)。ECVは、多変量解析で膵臓がんの独立した危険因子として特定された(オッズ比0.82; P <0.01)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在予定通りに研究が進んでいる。論文化を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね良好な結果が出ている。論文化、学術雑誌投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
COVID19により、学会がオンライン開催となったため、旅費を使用できなかった。次年度は英文校正代やコンピュータ代などに使用する可能性がある。
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