2021 Fiscal Year Research-status Report
超選択的副腎静脈支脈採血の普及・成功率上昇のための深層学習を用いた新規AI開発
Project/Area Number |
21K15789
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田村 全 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (50594602)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 原発性アルドステロン症 / 副腎静脈採血 / 深層学習 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性アルドステロン症は代表的な二次性高血圧症であり、副腎静脈サンプリングはその治療方針決定において不可欠な検査である。昨今では超選択的な区域別副腎静脈支脈採血によってアルドステロン産生腺腫の局在を明らかにすることにより、副腎部分切除術による機能温存が可能な場合がある。しかし、副腎静脈サンプリングは難易度が高く、また区域別副腎静脈支脈採血は一般的に普及しているとは言い難い。本研究では術前造影CTから右副腎静脈同定、カテーテル選定を行う人工知能モデルを開発することにより、超選択的副腎静脈支脈採血の普及・成功率上昇に寄与し、多数の患者に対してより適切な医療を選択することを広く可能とすることを目的とする。本年度は術前造影CTから右副腎静脈同定を行う人工知能モデルを開発するために必要な教師モデルを作成するため、2013年4月から2021年3月に施行された副腎静脈サンプリング 392例を対象として、必要な画像データの揃っている症例を検討した。その結果、術前多相造影CTがないことやCone-beam CT撮像不可という理由により23例(術前多相造影CTなし9例、Cone-beam CT撮像不可 14例)が除外され、369例が抽出された。これらの症例を対象として、副腎静脈サンプリングおよび副腎の画像診断に精通する放射線診断専門医2名により、術前造影CTにおいて、術中Cone-beam CTを参照基準として右副腎静脈を同定し、教師データを作成途中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多相造影CT撮影の取り込み、データ処理に時間を要しており、やや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は対象症例において右副腎静脈の同定を行い、評価者2名の合意により教師データを作成する。教師データにより、人工知能モデルによる術前造影CTでの右副腎静脈同定、推奨カテーテル選定アルゴリズムを作成しする。このアルゴリズムにより昨年度施行された副腎静脈サンプリングにおける右副腎静脈同定、推奨カテーテル選定の診断精度を評価する。さらにProspectiveに人工知能モデルによる術前造影CTでの右副腎静脈同定、推奨カテーテル選定を行い、術者は結果を参照して副腎静脈採血を行い手技の成功率や合併症の発生率、使用カテーテル本数、手技時間などを評価する。ただし、コロナ禍による検査数の減少により、2020~2021年にかけて症例数の減少があり、教師データ作成に十分な症例数を確保できない可能性がある。その場合は教師データ作成の対象とする期間を延長する可能性がある。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により学会への出席が困難となり、旅費の支出がなかった。また、放射線診断専門医の協力が無償で得られることとなったため、人件費の支出がなかった。来年度はコロナ流行の改善に伴い、学会への出席が可能となるため、旅費としての支出が増加する予定である。
|