2022 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素中性子捕捉療法の難治性非腫瘍性疾患への適応拡大のための基盤技術開発
Project/Area Number |
21K15805
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 翼 京都大学, 複合原子力科学研究所, 特定准教授 (30804348)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)とはホウ素原子が中性子を取り込みα線とリチウム原子核に核分裂を起こす反応を利用した治療である。これまで癌治療として開発が進められてきたBNCTの非腫瘍性疾患への適応拡大を目的として研究を行った。非腫瘍性疾患のうち関節リウマチは病因に関与する細胞群Th17細胞が同定されている。Th17細胞に選択的にホウ素原子を集積させるホウ素薬剤の開発をすすめた。抗体へホウ素原子を結合させるためにホウ素クラスターをベースとしたホウ素化モジュールの開発をすすめ、抗体1分子あたり約46個のホウ素原子を結合させることに成功した。コンセプト検証のためマウス脾臓からCD8+T細胞を取り出しホウ素化抗CD8a抗体の投与と中性子の照射を行った。CD8+T細胞のCD8a発現(9万個)から計算される中性子捕獲反応確率は3%であるが、照射後のアポトーシスをフローサイトメーターを用いて評価すると理論値とほぼ一致し平均2.8%のアポトーシス細胞の増加が認められた。Th17細胞の標的タンパク質発現数の推定値(50万個)をもとに考えると同モジュールでも5倍のアポトーシスを起こすことができるため、マウス実験を行うこととした。タンパク質IL-23Rに対する抗体をホウ素化させ、関節リウマチモデルマウスSKG/Jclへホウ素化抗体を注射して中性子を照射し照射後の関節炎のスコアを評価した。スコアはBNCT群で減少したものの中性子照射単独の対象群よりも有意な低下は得られなかった。抗体1分子当たりのホウ素原子数が不足しておりホウ素化モジュールの改良をすすめている。モジュール骨子をクマリンを主とした構造に変更し、改良モジュールは初期型の2倍のホウ素原子結合に至った。
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