2021 Fiscal Year Research-status Report
リゾホスファチジン酸と放射線治療の併用による新規治療法の開発
Project/Area Number |
21K15807
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永野 大輔 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70726520)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | LPA / 放射線治療 / 腫瘍血管正常化 |
Outline of Annual Research Achievements |
LPAを担癌マウスに投与すると、腫瘍内にある異常血管の血管透過性を制御し、薬剤到達性を高めることが確認されている。通常の薬剤だけでなく、投与抗体の到達も改善させ、免疫抗体療法への応用も確認されている。このLPAによる腫瘍微小環境の改善は、腫瘍の放射線感受性を高めることが期待される。また、 照射線量や照射回数の低減につながれば、放射線による副作用の低減につながると考えられる。マウスに肺がん細胞株であるLLCを皮下移植し、腫瘍サイズが5mmを超える頃からLPAを腹腔内に投与し、同時期にX線照射を行い、腫瘍サイズを経時的に観察した。 初回の実験の条件は1回あたりのX線照射量を4Gyとし、移植day7とday14に照射を行った。LPAはday7,10,14,17に投与。2回目の実験ではday7,14にX線(4Gy)照射し、LPAの投与を放射線照射を行う前日であるday6, day13を含めたday6,7,13,14に行った。1回目、2回目の結果では、control群とRT群の腫瘍サイズに優位な違いがなく、照射線量(4Gy)が少ないと判断した。また、LPAによる放射線治療増強効果は確認できなかった。そのため、3回目は1回照射線量を6Gyに変更する方針とした。LPAをday6,7,13,14に投与し、X線(6Gy/fr)をday7,14に照射した。照射単独群での腫瘍増大抑制効果を確認したが、LPAとの相乗効果は見られなかった。4回目はLPA投与量の増量(9mg/kg)を行い、同様の実験を行ったが、優位な差は出ていない。 LPAによる腫瘍血管正常化作用は皮下腫瘍モデルだけではなく、脳腫瘍モデルでも確認されているため、GL261というマウスグリオーマ細胞株をマウス脳内に移植し、脳腫瘍モデルでの検討を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
X線照射とLPAの併用効果を調べるために肺癌細胞株(LLC)の皮下腫瘍モデルを作成し、LPA投与量、X線照射量、タイミングの検討をおこなっているが、効果的な条件の検討に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き皮下腫瘍モデルを用いてLPAとX線照射を照射を行っていく。脳腫瘍モデルも並行して検討。 LPAの薬剤到達効果の改善を利用して放射線治療の内用療法との併用も検討する。
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Causes of Carryover |
前年度は動物実験を中心とした実験であり、使用額が少なかった。また、実験の進捗が計画より遅れているため、抗体等の高額な物品や試薬を必要とする実験を行っていないかった。次年度においては腫瘍組織の免疫染色のための抗体購入や、機材の購入などが必要である。
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