2023 Fiscal Year Annual Research Report
アルギン酸ゲルを使用した新規血管内塞栓材料の開発~長期有効性および安全性の評価~
Project/Area Number |
21K15809
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宇賀 麻由 岡山大学, 大学病院, 助教 (20580202)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 液体塞栓物質 / アルギン酸 / バリウム / ゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
血管内塞栓材料は、動脈瘤や血管奇形の塞栓、止血、腫瘍内血流低下等のため血管内に注入して使用される医療材料である。その形状から固形・液体塞栓物質に分類される。固形塞栓物質としてはコイル、バスキュラープラグ、ゼラチンスポンジなどがある。また、液体塞栓物質としては腹部領域で使用されるものにはNBCA(ヒストアクリル)、エタノールがある。これらのうち後者は未承認ではあるものの、他に代替材料がなく一般的に使用されているものである。しかし、強力な塞栓効果を呈する反面、コントロールが難しく手技には熟練を要する。実臨床では出血部位までカテーテル挿入が困難な場合や広い範囲を鋳型状に塞栓する必要がある場合等、液体塞栓物質が必要となる状況も多く、より安全に使用できる塞栓材料の開発が渇望されている。 我々は、安全かつ使用の簡便な新規液体塞栓材料としてアルギン酸ゲルに着目し、2018年度~2020年度の科学研究費若手研究でアルギン酸ゲルの血管塞栓材としての基礎実験を繰り返した。アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウム、塩化バリウム溶液を反応させることで作成したゲルを使用し、豚腎動脈での急性期動脈塞栓実験においても塞栓効果および組織学的所見を確認することで生体内での安全性を確認した。その結果を第49回IVR総会で発表報告した。 さらに、2021年度以降は低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムを用いた基礎実験を行い、その結果を踏まえて、2022年度、豚腎動脈での塞栓実験および3ヶ月後の血管造影での確認、組織の検討を行った。これにより3ヶ月の経過でも長期的な塞栓効果および安全性が確認された。これらの成果を2023年度CIRSEにて発表、2024年IVR総会シンポジウムにて発表し、論文化をしている。
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