2022 Fiscal Year Research-status Report
血流動態画像解析と人工知能による肺癌術後血栓形成メカニズム解明と予測モデルの開発
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21K15811
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
内匠 浩二 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (50535820)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 4D flow / 肺癌 / 肺静脈血栓 / 人工知能 / CFD |
Outline of Annual Research Achievements |
左房内血栓形成は脳梗塞発症の重要な原因の一つであるが,近年,肺癌術後の患者において左房や肺静脈断端部に血栓が形成し,それに伴う脳梗塞の発症が報告され,特に左肺上葉切除後の約10%程度の頻度とまれではない重大な合併症として認識されるようになった.その要因はいまだ断定されておらず,予防法に関しても確立されていない. 現在,放射線診断画像を用いたさまざまな血流動態解析が開発されており,近年ではコンピュータを利用した血流シミュレーション解析法(computational fluid dynamics: CFD)を応用することで術前に仮想的に術後の血流予測・評価を行うことが可能となった.本研究の目的は放射線血流解析画像や臨床情報を組み合わせたAIによるmultiparametric解析を用いて肺癌術後における左房/肺静脈内血栓形成メカニズムを解明することである.
本年度は肺癌術後特に左上葉切除後の症例でCTとMRI撮像を行った症例を対象に,4D flowでの血流変化を計測し,今後のCFD解析を行うための血流情報の収集を行った.また,multiparametric解析のパラメータの一つとしてCT画像での左房容積やMRIでのcine画像を解析することで左房機能の評価を行い,血栓形成との関連を評価した.左房容積が大きいほど,左房機能が低下した症例ほど,術後血栓を形成することが分かった. また患者背景としてCHA2DS2-VASCスコアが高いほど,肺静脈断端部血栓形成が起こりやすいことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現状では術前術後での肺静脈から左房へ流入する血流量の変化に関する評価が不十分であり,CFD解析まで至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は左房機能と4D flowから得られた左房内血流を比較評価し,患者背景も加味したマルチパラメトリック解析を行い,さらにCFDデータを加えて血栓形成予測モデルを開発する予定である.
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Causes of Carryover |
コロナの影響により研究成果の発表を行う機会が少なかった。本年度は学会発表や現在投稿中と投稿予定の論文発表の経費、さらに研究を進めるためのソフトウエア開発を中心に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)