2023 Fiscal Year Annual Research Report
インターベンション・ラジオロジーで受ける胎児の被曝線量に関する基礎研究
Project/Area Number |
21K15819
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松永 雄太 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (30803019)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胎児線量 / 妊婦ファントム / 被曝 / 線量計算ソフトウェア / アンギオグラフィ / CT検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
救急疾患の妊婦に対し、画像下治療(インターベンション・ラジオロジー:IVR)が行われることがある。特に妊婦は静脈血栓塞栓症を周産期に発症しやすく、致命的な肺塞栓症を防ぐためにX線画像下で下大静脈にフィルタを留置する。フィルタを留置する位置は胎児の位置に近いので、下大静脈フィルタを留置する時の胎児線量を知ることは重要である。 本研究では、妊婦の下大静脈フィルタ留置中に行われるIVRで受ける胎児や妊婦が受ける被曝線量について放射線測定機器を使った実測と線量シミュレーションソフトを使ったシミュレーション結果を比較し、精度を確認した。 はじめに、下大静脈フィルタを留置する際に受ける妊婦と胎児の被曝線量を実測した。測定には市販の成人人体ファントムと妊娠時の腹部を想定したファントムを組み合わせて作成した妊婦ファントムを用い、ファントム内部に線量計を挿入した。妊婦ファントムの腹囲は2種類の大きさで線量評価を行った。その後、妊婦と胎児の線量推定が可能な線量計算ソフトによる被曝線量推定を行った。線量計算ソフトに実測で使われた撮影条件を入力し、推定結果が得られた。ファントムによる実測結果と線量計算ソフトの結果を比較し、線量計算ソフトの精度を確認した。 実測結果と線量計算ソフトで推定した結果の精度を確認したことで、高価な放射線測定器やファントムを持たなくても、線量計算ソフトによる結果を臨床現場でも胎児の被曝線量の推定に活用できると期待している。 最終年度では新たに骨盤外傷に対するCT検査および回転血管造影(RA)検査を受けた妊婦における胎児の被曝線量を同じファントムと線量計で実測で評価した。妊婦がCT検査(平坦相、動脈相、平衡相)と1回のRA検査の両方から受けた胎児線量の合計は奇形を来すしきい線量より低いことを確認した。上記に関する研究論文が、これまでの研究実績の成果として学術雑誌へ掲載された。
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