2021 Fiscal Year Research-status Report
3次元 T1 mappingを用いた膵 T1容積による膵外分泌機能評価法の開発
Project/Area Number |
21K15825
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
森阪 裕之 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (70456482)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵 / MRI / T1緩和値 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 膵臓を標的とするT1mapping撮像: dual flip angle法にて取得したデータから水画像と脂肪画像を分離。水画像をベースにしたT1map作成アルゴリズムを確立した。同時にfat fraction (FF)mapを得た。 2. 塩化ニッケルを用いたファントム作成・T1値計測: 塩化ニッケルを用いた希釈系列のファントムを作成した。referenceとなるT1値計測をinversion recovery法で行った。dual flip angle法のT1値はreferenceと比較して全体に過大評価する傾向があることがわかり、最大で20%の乖離を認めた。 本方は脂肪の影響を排除したT1値計測が期待される方法であり、塩化ニッケルに脂肪を含有したファントムにて脂肪の影響を受けないことの確認を試みたが、安定した混合液を作成することが難しく断念した。脂肪の影響を取り除くことができるファントム実験のデザインを今後検討する。 3. 膵疾患のない症例でのT1値・FF計測: 当院にて行う腹部MRIで本T1mapping撮像を行い、水画像、T1map、FF mapを得た。ここから膵容積、膵T1値、膵FF値を計測、年齢、性別、BMIとの関連を調べた(100症例)。膵T1値は女性の方が高く、年齢の影響は見られなかった。body mass indexとFFは正の相関を示した。後ろ向きの検討であり、潜在的な糖尿病や慢性膵炎の混在を正確に排除することが難しいことがバイアスになっている可能性がある。今後は症例を蓄積して、膵容積、膵T1値、膵FF値と糖尿病や慢性膵炎との関連を調査したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MRIによる膵T1mappingから得られる定量値(膵容積、膵T1値、膵FF値)から臨床的な膵外分泌機能評価法であるPDF試験の値及び慢性膵炎の有無を評価することが次年度の目的であるが、前向き試験の準備が遅れている。また慢性膵炎の定義が曖昧でありどのような症例を組み込むことが合理的か現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 膵酵素の影響をファントム実験で評価 膵T1mappingによる膵外分泌機能評価法への傍証として、膵酵素のT1値への影響を調べる。正常膵ではリパーゼが80%で主たる成分で、ついでアミラーゼ (15%)、エラスターゼやトリプシンの割合は少ないとされる。市販されている膵酵素を用いたファントムを作成し膵酵素成分のT1値への影響を調べる。 2. MRIによる臨床的な膵外分泌機能評価法であるPDF試験の評価 前向き試験の準備を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由 物品費:ファントム作成の一部で困難な部分があり中断したため。旅費:コロナウイルスの影響で学会の現地参加が難しかったため。人件費・謝金:前向き試験の進行が遅れているため。その他費用:論文執筆が遅れているため。 使用計画 物品費:新たに膵酵素を用いたファントム作成、MRI撮像を行う。必要であれば画像再構成・解析のための環境をアップデート。旅費:学会の現地参加を予定している。人件費・謝金:膵外分泌機能評価の前向き試験を進める。その他費用:論文執筆を進める。
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