2021 Fiscal Year Research-status Report
インスリン静脈投与による血糖調整法を用いたFDG-PET 検査法の確立
Project/Area Number |
21K15829
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂本 史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (10551252)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 18F-FDG / PET/CT / 高血糖 / 脳集積 / 部分容積効果 / CT補正 |
Outline of Annual Research Achievements |
18F-FDG はブドウ糖類似の化合物であり、体内のブドウ糖とほぼ同様の分布を示す。中でも脳は糖代謝の最も盛んな臓器であり、FDG を多く取り込むため、他臓器と比べ高集積を示す。PET 検査では視覚評価とともに定量評価も重要であるが、脳のブドウ糖代謝においては、灰白質の萎縮による部分容積効果(PVE : partial volume effect) により定量性が低下するため、より正確な定量評価においては形態画像を用いた PVE 補正を行う必要がある。通常、PVE 補正には脳組織間コントラストの高い MRI 画像の灰白質、白質及び脳脊髄液のセグメントを用いた手法が用いられているが、その場合、PET 検査に加え MRI 検査も行う必要があり、検査効率の低下および受診者の時間的及び経済的負担が大きくなる。PVE 補正に PET 検査と連続して撮影された CT 画像を用いることが可能であれば、臨床的有用性は高い。このような背景から研究初年度は、脳 18F-FDG PET において、より正確な定量評価を行うための手法として、CT 画像を用いた補正法の検証を行った。その結果、後部帯状回、楔前部や海馬などの脳容積の小さい領域では CT 補正群が高値を示し、前頭葉及び後頭葉などの容積が大きい領域では低値を示し、ボクセル値がMRI 画像による組織確率密度画像と多少異なるため、PVE 補正の結果に誤差が生じたと考えられた。しかしながら全体として、CT 画像を用いた PVE 補正は、MRI 画像を用いた場合と比べ、カウントに多少の誤差は生じるものの、多くの領域で有意な差は認められず、全体的に強い正の相関関係を示した。MRI を用いずPET/CT 装置のみでも補正および定量評価が可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により病院内への立ち入り制限期間が長かったため、予定していた症例のデータ収集が計画通りに遂行できなかった。そのため、収集が可能であった症例群において、脳 18F-FDG PET における CT 画像を用いた PVE について基礎的研究を行った。研究結果から、CT 画像を用いた場合、MRI と比べ多少の誤差が生じるものの、同等の精度で十分な PVE が可能であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、目まぐるしく変化する様々な環境・状況の中で、予定していたデータ収集を行うことができなかった。当初、上記のような検討を計画してはいなかったが、遂行可能な研究を模索し、一部計画を変更し基礎的研究を行った。今後はこの結果をもとに、予定していた臨床画像の検討について、非補正時と補正後の変化等の検討項目を増やし、血糖値別やインスリン投与・非投与群の画質評価や定量値の変動等について検討を行う予定としている。
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Causes of Carryover |
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