2023 Fiscal Year Research-status Report
インスリン静脈投与による血糖調整法を用いたFDG-PET 検査法の確立
Project/Area Number |
21K15829
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂本 史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (10551252)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 18F-FDG / PET/CT / 高血糖 / 糖尿病 / 画質評価 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高血糖状態における18F-FDG-PETの画質評価、インスリン静脈投与による血糖調整を用いた検査法の確立を目指した。まず、正常血糖群におけるFDG集積について画質評価を行った。評価法として、大脳、小脳、心筋、肝臓、骨格筋、脂肪組織にregion of interest (ROI)を設定し、standardized uptake value max (SUVmax) 値を測定した。結果、肝臓や骨格筋、脂肪においては症例間でほぼ一定の集積であったが、大脳や小脳、心筋においては症例間による差が顕著であり、大脳は小脳に比べ集積が高い傾向にあった。 次に検査前に高血糖であった患者に対し速効型インスリン静脈投与を行い、その画質について視覚的評価を行った。患者 88 例を対象とし、うち 38 例は FDG 投与前に速効型インスリン静脈投与を行った。全症例の Maximum Intensity Projection (MIP) 画像 (前面像・後面像) を無作為に羅列し、5 段階評価を用いて、核医学専門医および診療放射線技師計 4 名による読影実験を行った。結果、全症例ともに Score 0~2 を示した。Score 1 の割合はインスリン有症例の方が若干高かったが、統計学的有意差は認められなかった。他の Score においてもインスリン有・無で有意差は認めず、インスリン使用による視覚的影響はなかったと考えられ、視覚的評価では、インスリン有・無において筋肉集積に有意差はみられなかった。つまり、インスリン使用によるバックグラウンドの上昇はみられず、視覚的な影響はなかったと言える。この要因として、インスリンの静脈投与は一般的な皮下投与に比べ、半減期が短時間で血中からの排泄が速いことが考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により病院内への立ち入り制限が長期間となっていたため、予定していた症例の画像収集や患者情報の収集が遂行できなかった。また、解析プログラムの使用にも制限がかかり、計画通りに行えなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
制限下のなかで、なんとか収集ができた症例群において、初年度(2021年度)は、脳 18F-FDG PET における CT 画像を用いた PVE について基礎的研究を行った。2年目(2022年度)は、症例数を増やし、研究の主項目前段階として、正常血糖群における各臓器の画質評価を行った。3年目(2023年度)は、さらに症例数を増加させ、インスリンの有無について、18F-FDG PET の画質評価を行った。最終目標であったインスリン使用における各臓器の定量評価、至適投与時間までの検討に至らなかったたため、今回、研究期間延長とした。4年目(2024年度)は、上記検討に加え、可能であれば、prospectiveなスライディングスケール法の構築やインスリン投与時間の確率までを検討できればと考えている。
|
Causes of Carryover |
研究が予定通りに遂行していないため、期間延長とし、その期間に使用する予定としている。
|