2022 Fiscal Year Research-status Report
定量的マルチモーダルMRIを用いた自閉症スペクトラム障害の病態解明
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21K15851
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
入江 隆介 順天堂大学, 医学部, 助教 (30750210)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Autism / Advanced diffusion MRI / Diffusion tensor imaging / Brain microstructure / Neuronal loss / Neuroinflammation |
Outline of Annual Research Achievements |
3テスラMRI装置を用いて成人Autism spectrum disorder (ASD)症例及び定型発達(TD)例の頭部MRI撮像を実施し、本年度追加症例としてASD 8例、TD 8例のデータ取得が完了した。現在までにASD 33例、TD 33例(合計66例)のデータ取得が完了している。本年度追加した計16例の被験者データには脳拡散MRI定量解析で必須となる前処理(ノイズ除去、トランケーションアーチファクト除去、動きによる歪みの補正など)を実施し、次世代拡散定量パラメータである拡散テンソルイメージング(DTI)、神経突起イメージング(NODDI)、自由水イメージング(FWI)、diffusion tensor image analysis along the perivascular space (DTI-ALPS) indexの算出が完了した。また、小児自閉症MRIデータベースであるAutism Brain Imaging Data Exchange (ABIDE)I&IIより拡散MRIデータを取得、前処理を実施し、次世代拡散定量パラメータを算出した。 昨年度までに収集した症例の先行解析により、左前頭前野(中前頭葉尾側部、外側眼窩前頭葉、眼窩部、三角部、中前頭葉吻側部、上前頭葉領域)においてASD群でneurite density index (NDI)の有意な低下が検出されている。また、ROI解析では左中前頭回吻側部におけるNDIはASD関連スコアであるempathizing quotient (EQ)と有意な正相関を示した。これらの結果は、左中前頭回吻側部の神経細胞の変性・密度の低下がASDにおける共感性の欠如の神経基盤となることを示唆している。本年度の収集データを合わせたさらなる解析について、結果報告の準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該施設にて既にASD33例、定型発達例33例の計66例のデータ取得が完了しているため(令和4年度までに、目標数40例)。また、マイルストーンに基づき、成人ASDを対象にNODDIを用いた灰白質構造評価を行い、英文誌にて査読対応中であるため(Frontiers in Neurology, impact factor = 4.086;本申請日現在Major revision)。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度・2022年度の検討では、成人ASDにおける大脳白質・灰白質微細構造変性が明らかとなり、次世代拡散MRIパラメータである神経突起イメージングがASDの病態評価に有用である可能性が示唆された。引き続き当該施設におけるデータの収集に加え、小児ASD公開データベースと併せた検討により、ASDの病態解明、バイオマーカの確立を目指す。 さらに、近年、脳のクリアランス機能としてグリンパティックシステムの存在が提唱され、ASDにおけるグリンパティックシステム機能不全の病態関与が示唆されている。当該研究室でもMRIを用いたグリンパティックシステム機能評価のためのパイプラインは実装済みであり、ASDにおける病態解明及び客観的ASD診断評価法の開発を推進する。
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Causes of Carryover |
今年度の研究概要はデータ収集や解析が主体であり、高額な機器の購入がなかった。また、成果の発表は準備段階であり、学会参加による旅費が生じなかった。
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