2023 Fiscal Year Annual Research Report
定量的マルチモーダルMRIを用いた自閉症スペクトラム障害の病態解明
Project/Area Number |
21K15851
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
入江 隆介 順天堂大学, 医学部, 助教 (30750210)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Autism / Advanced diffusion MRI / Diffusion tensor imaging / Brain microstructure / Neuronal loss / Neuroinflammation |
Outline of Annual Research Achievements |
3テスラMRI装置を用いて成人Autism spectrum disorder (ASD)症例及び定型発達(TD)例の頭部MRI撮像を実施し、本年度追加症例としてASD 9例、TD9例のデータを取得し、最終的にASD 42例、TD 42例(合計84例)のデータ取得が完了した。本年度追加した計18例の被験者データには脳拡散MRI定量解析で必須となる前処理(ノイズ除去、トランケーションアーチファクト除去、動きによる歪みの補正など)を実施し、次世代拡散定量パラメータである拡散テンソルイメージング(DTI)、神経突起イメージング(NODDI)、自由水イメージング(FWI)の算出が完了した。 本年、NODDIを用いて、ASD 成人における大脳灰白質の微細構造の変化を評価し、その結果がFrontiers in Neurology誌(IF=3.4, 2022)に掲載された。本検討では、ASD群22例(男性17人、平均年齢34.42±8.27歳)で、TD群26例(男性14人、平均年齢32.57±9.62歳)を対象に、脳灰白質におけるneurite density index [NDI], orientation dispersion index [ODI], and isotropic volume fraction [ISOVF]を算出し、全脳で探索的に2群間比較を行った。その結果、左前頭前野(中前頭葉尾側部、外側眼窩前頭葉、眼窩部、三角部、中前頭葉吻側部、上前頭葉領域)においてASD群でNDIの有意な低値が検出された。さらに、ROI解析では左中前頭回吻側部におけるNDIはASD関連スコアであるempathizing quotient(EQ)と有意な正相関を示した。これらの結果は、左中前頭回吻側部の神経細胞の変性・密度の低下がASDにおける共感性の欠如の神経基盤となることを示唆している。
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