2022 Fiscal Year Research-status Report
Parameter-kinetics of apoptosis inhibitor of macrophage (AIM) in contrast-induced nephropathy
Project/Area Number |
21K15853
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
西沢 蓉子 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00897150)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | AIM / 造影剤腎症 / 急性腎障害 / 冠動脈造影 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
急性腎障害(acute kidney injury, AKI)は高率に慢性腎臓病に移行し、生命予後不良かつ医療財政を圧迫する病態である。現時点でAKIに有効な治療法は確立されておらず、早期に発見し対応することが重要である。造影剤腎症は入院中に発症するAKIの主因のひとつであり、AKIの治癒においてapoptosis inhibitor of macrophage(AIM)が重要な役割を果たすことが明らかになっている。しかし造影剤腎症におけるAIMの動態は不明である。 本研究では、造影剤腎症発症のリスクの高い高齢で腎機能障害を合併した患者に対し、冠動脈造影検査を行う前後でのAIMを測定し、その動態を明らかにすることとした。血清クレアチニンを指標とした古典的な造影剤腎症の診断に加え、早期診断に有用とされている他のバイオマーカーも同時に測定を行い、造影剤腎症の早期診断のバイオマーカーとしてAIMが有用であるかを判断する目的で本研究を開始した。 今年度は昨年度に引き続き、東京女子医科大学附属足立医療センター内科・心臓血管診療部に入院のうえ、臨床上の必要性により冠動脈または下肢動脈血管造影検査を行った推定糸球体濾過量45 mL/min未満の造影剤腎症発症のハイリスク群に対し、同意取得後、検査前日までに1回目の血液・尿(以下、試料と記載する)の採取を行い、その後造影検査を受けた直後(2回目)、12-24時間後(3回目)、48-72時間後(4回目)および約14日後(5回目)の計5回、試料の採取を行った。目標症例数に達したため、昨年度と今年度に凍結保存した検体を用いて、血中および尿中AIMの測定を行った。次年度は血中および尿中KIM-1の測定を行い、結果の解析および学会発表・論文化を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は2021年度から2年間の研究計画であったが、2022年1月1日の病院移転事業により一時的に入院および造影剤検査の受け入れを停止したため、研究を一時中断せざるを得なかった。検体の収集が遅れ目標症例数に達するのに予想よりも時間を要したため、1年間の研究期間延長を申請し3ヶ年計画に上方修正した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、昨年度と今年度に凍結保存した検体を用いて、市販されてるキットを購入しenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)法でKIM-1の測定を行う予定である。 結果が得られたのち、患者の診療情報および既存試料からの情報と照らし合わせ、造影剤使用前後での各マーカーの動態を明らかにする。さらに、適切な統計解析手法を用いて血中・尿中AIMの冠動脈造影検査前・24時間後の変化量と、Crを指標とした従来の造影剤腎症の関連について評価する。さらに、造影剤腎症発症群と非発症群での造影剤腎症の早期マーカーとKIM-1, AIMの変化の相違について明らかにし、造影剤腎症の早期バイオマーカーとしてAIMが有用かどうかについても併せて評価する。本研究の成果は国内外の学会および論文として投稿し公表する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は2021年度から2年間の研究計画であり、今年度上半期までに検体の収集を終了し、すべての検体が揃ったところで下半期に検体の測定、解析を行う予定としていた。しかし病院移転事業に伴い検体収集に遅れが生じた関係で、次年度にも一部の検体測定が発生した。すべての検体測定後に解析および結果の公表を行う予定のため、次年度に使用額が生じた。
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