2023 Fiscal Year Research-status Report
パレコウイルスA3に対する母乳の抗ウイルス効果の検討
Project/Area Number |
21K15859
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
泉田 亮平 新潟大学, 医歯学系, 客員研究員 (00888042)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | パレコウイルス / 母乳 / 早期乳児 / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、パレコウイルスA3に対する母乳の抗ウイルス効果をin vitro実験系で解明することを目的としている。研究代表者はこれまでの検討で、母乳の水溶性成分内に中和作用を発揮する成分が存在することを明らかにした。本研究では、さらに抗体クラスレベルでの精製を行い、抗ウイルス効果を有する成分を特定することを目的とするが、いまだ抗体の精製に成功していない。検体である母乳、精製しようと試みている抗体のタイプ、目的の抗体を結合させる抗体結合タンパク質のすべてに適した実験系を確立させる必要があり、現在様々な実験系で試みている最中である。 また、新型コロナウイルス感染症が全国的に流行した影響で手指衛生などの感染予防対策が広く行われ、感染者の気道分泌物や糞便を介して伝播するパレコウイルスA3感染症はほぼ発生しなかった。そのため、当初予定していたパレコウイルスA3感染症に罹患した児の母親から得た母乳を用いた、中和抗体価の検討や抗体クラスごとの抗ウイルス効果の検討が前年度と同様に行えなかった。すでに確保している検体を用いた検討をさらに進め、抗体精製方法を確立することが喫緊の課題である。引き続き様々な実験系で抗体精製方法の確立を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度から研究代表者の所属研究機関が変わり、研究の環境が大きく変わってしまった。そのため、研究に従事することが困難で、当初の想定以上に実験が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
抗体精製:適切なリガンドを用いた抗体クラス別のアフィニティー精製を試みている。それには、目的サンプルや目的抗体のタイプから適切な抗体結合タンパク質を選択する必要があるため、その組み合わせを今後も様々な実験キットなどを用いて検討する。 新たな検体の収集:新たな検体を収集して実験するだけの時間的猶予は限られているため、すでに収集している非感染児の母から得た検体で検討を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響:新型コロナウイルス感染症の流行が令和5年度も持続し、国内・国際学会への参加ができず、それに関わる旅費等の使用が生じなかった。また、手指衛生やマスクの着用などの感染対策が徹底されたため、気道分泌物や糞便を介して感染するパレコウイルスA3感染症は全国的にほぼ発生せず、新たな感染児に関連した検体の収集や検討が行えず、それに関連した検体収集費用や実験費用が発生しなかった。また、検体収集は感染児の母に限定せず、現在保管している検体を用いた検討も同時に行う。 抗体精製の複雑さの影響:抗体精製のためには、用いる検体(本研究では母乳)、目的とする抗体のクラス、抗体を吸着させる抗体結合タンパク質のすべてに適合した実験系を選択する必要がある。しかし、現在抗体を十分に精製できる実験系は確立していない。今後、実験に用いるキットの組み合わせを変えるなどして、検討を進めたい。 論文作成:限られた研究結果をもとに、論文化して学術誌に発表する。
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