2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K15876
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
赤川 翔平 関西医科大学, 医学部, 講師 (80714881)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 川崎病 / 腸内細菌叢 / dysbiosis / Blautia / Ruminococcus |
Outline of Annual Research Achievements |
【はじめに】川崎病(KD)は小児に多発する原因不明の全身性血管炎である。近年、KDの発症時に腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)が存在することが報告されている。しかし、そのdysbiosisはKDに罹患した結果であるのか、発症要因であるのかは不明である。本研究ではKD発症にdysbiosisが関連しているかを明らかにすることを目的とする。 【方法】2017年から2021年にKDと診断された児(発症時月齢6か月から48か月)を26人を対象とし、罹患から約1年を経過した時点で便を採取した。対照はKDの既往がない同年代の健康小児57人とした。採取した検体から細菌DNAを抽出し、16S rRNA遺伝子解析を行い、腸内細菌叢の細菌構成について比較した。 【結果】対象の年齢、性別に有意差はなかった。検体採取時の年齢の中央値は32.5か月であった。Bray-Curtis非類似度において2群の腸内細菌叢は有意に異なっていた。細菌構成比率は、KD既往群においてRuminococcus gnavus groupが有意に多く、Blautiaが有意に少なかった。 【考察と結論】KDは遺伝的・環境的素因に起因する罹患感受性を有する個体が、何らかの病原体の感染を機に過剰な免疫反応を起こして発症すると考えられている。KD既往患者に多く見られたRuminococcus gnavus groupはアレルギー疾患や自己免疫疾患の発症への関与が指摘されている一方、KD既往患者に少ないBlautiaは免疫調節に関与している。したがってKDの既往を有する児の腸内細菌叢は、何らかの理由で細菌の構成バランスが乱れ、それが川崎病の罹患感受性因子となった可能性がある。
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