2021 Fiscal Year Research-status Report
Tmマッピング法による新生児敗血症の迅速診断と最適治療への展開
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21K15899
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田村 賢太郎 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (00793340)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新生児 / 敗血症 / PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リアルタイムPCR法を応用した敗血症起炎菌迅速同定システム(Tm mapping法)が、新生児の感染症診療に有用かどうか検証することを目的としている。 2022年3月までに新生児の血液221検体の解析を行った。Tm mapping法で菌種を同定できたのが15例(6.8%)、血液培養陽性が9例(4.1%)であった。両者が陽性だったのは3例であった。また、髄液や膿など血液以外の8検体についてもTm mapping法を応用し、5例で菌種を同定した。 個々のTm mapping陽性例に着目すると、大腸菌敗血症で経時的な菌数を定量できた症例、コリネバクテリウム感染性心内膜炎の診断と治療効果判定に有用だった症例、黄色ブドウ球菌髄膜炎治療後の髄液中の菌の陰性化確認に応用した症例、表皮ブドウ球菌菌血症を血液培養よりも早期認知し、mecA遺伝子陽性の結果から感受性のある抗菌薬へ変更した症例などを経験した。 これらの結果から、新生児敗血症診療において、菌種の同定、抗菌薬治療の効果判定、検体中の菌の陰性化などを検証する際に、Tm mapping法が有用である可能性が示唆された。特に、Tm mapping法を既存の培養法と組み合わせて利用することで、互いの欠点を補い有益な情報が得られることが期待される。今後も検体の収集を継続し、十分な検体数が集まった後に、Tm mapping法と血液培養法との優位性に関して比較検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
およそ230検体の解析を行っており、陽性例は十数例得られている。おおむね順調に経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在も検体の収集を行っており、残り2年で300~400検体が集まる見込みである。収集後は、Tm mapping法の培養検査に対する感度、特異度、Kappa係数(一致率)などを統計学的に解析する。また、起炎菌同定までの時間を比較検討し、Tm mapping法の優位性を検証する。さらに、Tm法が、適正な抗菌薬の選択に有用であったか調査する。 また、髄液など通常は無菌である検体への有用性についても評価する予定である。
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Causes of Carryover |
多くの学会がWebになったので、学会に要する旅費・宿泊費が不要であった。
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Research Products
(8 results)