2021 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism analysis of a syndrome with congenital heart disease due to tyrosine kinase gene abnormality
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21K15900
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 英範 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80801662)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | チロシンキナーゼ / 先天性心疾患 / CRISPR-Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
C57BL/6のAbl1に対して、CRISPR-Cas9のゲノム編集技術を用いて機能獲得型変異をノックインした。ヒト生殖細胞のABL1においては、複数の機能獲得型変異が確認されているが、本研究における遺伝子編集箇所は、それらのうち、CRISPR-Cas9におけるノックイン効率を考慮のうえで決定した。得られたF0マウスを野生型と交配してF1を得て、以降、ヘテロと野生型を交配することで系統維持している。 今回作成したノックインマウスにおける問題点として、変異型(ヘテロ)の殆どが生後数日~数週以内に死亡してしまい、成獣まで生きられるものは野生型に比して明らかに少なかった点が挙がった。一方でヘテロで成獣まで生きられた個体には明らかな異常な表現型は確認されなかった。さらにヘテロ同士の交配によるホモ個体の作成も行ったが、ホモは全個体が出生前または出生直後に死亡し、胎児水腫を呈した個体も多く確認された。以上のことより、今回ノックインしたバリアントは、浸透率が100%でないものの、明らかに生命予後に影響を及ぼすものと考えられた。 本遺伝子異常によるヒトにおける表現型は、肺血流増多型の先天性心疾患を呈することが多くい。それらは乳児期に心臓手術を要さねば致死的になるものが多く、それに矛盾しないデータと思われるが。 ここまでで、出生後の表現型解析は困難であるという結論に至り、胎児での解析をすべく、胎児サンプルの採取を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調にモデルマウスを作成することができた。想定以上に変異型マウスの生存率が悪く、現時点では「なんとか系統維持ができている」という現状である。また、成獣まで生存できる変異型マウスは異常な表現型を呈しておらず、今後の表現型解析は難渋する可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の理由により出生後の表現型解析が容易ではないため、今後は胎児での解析を計画している。出生直前のマウス(変異型・野生型)を帝王切開で娩出し、液体窒素で急速凍結する。心臓などを摘出し、薄切スライドで先天性心疾患の有無について検証するとともに、分子メカニズム解析として、まずは組織から総蛋白を抽出し、プロテオーム解析(リン酸化含む)を行う予定である。
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