2022 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘膜の恒常性維持におけるDNAメチル化制御の役割と発癌への関与
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21K15921
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 孝洋 京都大学, 医学研究科, 助教 (70812684)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胃癌 / 腸上皮化生 / DNAメチル化異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床検体を用いて、慢性胃炎組織におけるメチル化状態を網羅的に解析した。早期胃癌及び他疾患にて内視鏡的もしくは外科的治療を施行された症例を対象とし、切除された胃組織より、非癌部の胃粘膜を採取し、腺管のみを分離した。その上で、アルシアンブルー染色を行い、腸上皮化生と非腸上皮化生に分けた。また、腸上皮化生腺管は、完全型、不完全型を区別した。同一検体よりDNAとRNAを採取し、以下の解析を行った。 まず、正常腺管、非腸上皮化生腺管、完全型腸上皮化生腺管、不完全型腸上皮化生腺管におけるDNAメチル化状態を把握するために、計25サンプルに対してMethylationEPIC BeadChipを用いて網羅的な解析を行った。正常腺管、非腸上皮化生腺管、腸上皮化生腺管の順にメチル化異常が多く蓄積されていた。完全型と不完全型腸上皮化生には大きな違いは認めなかった。 次に、腸上皮化生腺管に蓄積されたDNAメチル化異常が発癌基盤にどのように関与しているのかを調べた。癌関連遺伝子の異常については、腸上皮化生に優位に多いことが分かった。また、胃粘膜の一腺管あたりのゲノム異常を調べたところ、腸上皮化生には、非腸上皮化生と比較して、遺伝子変異にして約3-4倍の数のゲノム異常が蓄積していることが分かっている。ゲノム異常の生成に関与するDNAメチル化異常が存在するかどうかを調べたところ、腸上皮化生の一部に、MLH1など修復過程に関与する遺伝子のメチル化異常を認めることが分かった。現在、さらに解析を進めている。
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[Journal Article] On the origin of gastric tumours: analysis of a case with intramucosal gastric carcinoma and oxyntic gland adenoma2023
Author(s)
Ken Kumagai, Takahiro Shimizu, Mitsuhiro Nikaido, Tomonori Hirano, Nobuyuki Kakiuchi, Yasuhide Takeuchi, Sachiko Minamiguchi, Takaki Sakurai, Mari Teramura, Takahiro Utsumi, Yukiko Hiramatsu, Yuki Nakanishi, Atsushi Takai, Shin'ichi Miyamoto, Seishi Ogawa, Hiroshi Seno
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Journal Title
Journal of Pathology
Volume: 259
Pages: 362-368
DOI
Peer Reviewed
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