2021 Fiscal Year Research-status Report
消化管慢性炎症によるエピゲノム不安定性の誘発と化生発生における意義の解明
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21K15941
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
竹内 千尋 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (60836055)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピゲノム不安定性 / 慢性炎症 / シングルセル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では胃の慢性炎症が幹細胞のエピゲノムに与える影響をシングルセルレベルで解析する。 まずマウスへのピロリ菌(PMSS1株)感染モデルを用いて、長期間の感染実験(1週、16週及び45週感)を行った。同マウスは解剖し、病理学的評価を行うとともに、胃粘膜検体についてはシングルセル解析を行う目的に液体窒素凍結保存を行った。ピロリ菌感染胃粘膜ではPCRによりピロリ菌現感染であることが確認され、更に病理学的にも白血球の浸潤が認めらたため、長期間のピロリ菌感染が実証された。同凍結保存検体を用いてシングルセルRNA-seqおよびATAC-seqを行ったところ、ピロリ未感染胃粘膜とピロリ感染胃粘膜細胞はそれぞれ異なるクラスターに分離され、炎症により誘導される遺伝子の発現上昇を確認した。更にサンプル数を増やしてエピゲノムへの影響を解析するため、感染実験を継続している。 次に、ヒト胃粘膜においても同様にシングルセルレベルで解析した。具体的手法として、胃外科切除検体の非腫瘍部粘膜検体を採取し、セルバンカー及び液体窒素凍結保存を行った。ピロリ菌未感染粘膜・ピロリ菌感染粘膜を用いて先行してシングルセルATAC-seqを行い、結果については現在解析作業中である。また検体数を増やす目的で検体採取および凍結保存を継続している。 同時に、マウス及びヒトの胃粘膜検体を用いて、オルガノイドの樹立を行い、DNA・RNAを採取するともにセルバンカー及び液体窒素凍結を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界的COVID-19流行と、緊急事態宣言等でスムーズに研究が遂行できない期間もあったが、研究実施計画からはおおむね順調に進展していると考えられる。具体的には、解析に必要な検体の採取は順調に推移しており、シングルセル解析の結果も慢性炎症モデルを反映した結果であることからも、さらに検体数を増やし目的とするエピゲノム不安定性について明らかにすることができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスにおけるピロリ菌感染モデルを用いた胃粘膜検体及び、ヒトのピロリ菌感染検体について更に蓄積を進める。同時にオルガノイドをそれぞれ樹立し、DNA・RNAの抽出、オルガノイド検体の蓄積を進める。 シングルセル解析については、更に検体数を増やして解析し、実際に慢性炎症が幹細胞のエピゲノムに与える影響について解析する。また、現在はRNA-seqおよびATAC-seqの個別解析を先行しているが、更に発展させてPaired-seq法を用いた同時解析を行うことも目標としている。現在はヒト細胞株を用いたPaired-seq法の実証に留まっているため、実際の胃粘膜検体を用いて実証し本解析に進む予定である。
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Causes of Carryover |
本研究ではピロリ菌感染胃粘膜を採取後にシングルセル解析を行う方針となっており、検体が準備できてから順次解析に進んでいるため差額が発生した。 そのため、本解析に当たるシングルセル解析に必要な試薬及びシークエンス費用については、2022年度に差額分相当以上に必要となる。
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Research Products
(1 results)