2021 Fiscal Year Research-status Report
異なる経路での腸腫瘍発生におけるクロマチンリモデリング因子の機能的役割の解明
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21K15948
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 由紀子 (平松由紀子) 京都大学, 医学研究科, 医員 (60876184)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大腸癌 / エピジェネティクス / Arid1a |
Outline of Annual Research Achievements |
① Conventional & Alternative 経路のマウス腸腫瘍におけるArid1aの機能解析 :それぞれの経路での腸腫瘍におけるArid1aの機能解析を行うために、Arid1aを腸特異的、または腫瘍幹細胞特異的にノックアウトした腫瘍モデルマウスを作成し、腸腫瘍形成・維持におけるArid1aの機能解析を行った結果、それぞれの経路においてArid1aが異なる役割を果たしていることを示唆する実験結果を得ている。次に、Braf変異を背景とした腫瘍発生経路でのArid1aの機能解析を行うために既に作成済みの、Braf変異下にArid1aを欠損したマウスと、コントロールマウスとの腸腫瘍形成能の比較解析を行っている。 ② Dysplasia-carcinoma sequenceにおけるArid1aの機能解析:①で作成したノックアウトマウスにDSS(デキストラン硫酸ナトリウム)を投与し、炎症性発癌モデルマウスでのArid1aの役割を検討中である。 ③ マウス腸腫瘍発生におけるArid1aの分子制御機構の解明:網羅的遺伝子発現解析・ChIP解析により、それぞれの腸腫瘍経路におけるArid1aのエピジェネティックな分子制御機構を明らかにする。①で得られたマウス腫瘍細胞を用いて腫瘍オルガノイドを樹立し、網羅的遺伝子発現比較解析中である。 ④ マウス腸腫瘍オルガノイドを用いた薬剤感受性試験:①で得られたマウス腸腫瘍オルガノイドを用いて、卵巣がんなどでArid1aとの合成致死性が報告されているEZH1/2阻害剤、ATR阻害剤、PI3K/AKT阻害剤を候補とした薬剤感受性試験を評価中である。 ⑤ ヒト腸腫瘍におけるARID1Aの発現解析:ヒト大腸腫瘍におけるARID1Aの発現解析中である。さらに、ヒト大腸腫瘍細胞からオルガノイドを現在30例以上樹立し、薬剤感受性試験等を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
① Conventional & Alternative 経路のマウス腸腫瘍におけるArid1aの機能解析 :それぞれの経路におけるArid1aを腸特異的、または腫瘍幹細胞特異的にノックアウトした腫瘍モデルマウスを作成・解析中である。1年目に作成予定であった、腫瘍幹細胞特異的βカテニン恒常活性下Arid1aノックアウトマウスを作成し、解析中である。 ②マウス腸腫瘍発生におけるArid1aの分子制御機構の解明:上記①で作成した腫瘍モデルマウスでの腫瘍形成におけるArid1aの分子制御機構の解明目的に、現在、腫瘍モデルマウス腫瘍細胞からオルガノイドを樹立し、遺伝子発現解析中である。 実験結果から、それぞれの腸腫瘍経路におけるArid1aのエピジェネティックな分子制御機構の中心となるPathwayを示す結果を得ている。 ③ マウス腸腫瘍オルガノイドを用いた薬剤感受性試験 :マウス腸腫瘍オルガノイドを用いて、卵巣がんなどでArid1aとの合成致死性が報告されている薬剤感受性試験を行った結果、特定の薬剤を使用した場合にマウス腸腫瘍オルガノイドの増殖能の低下を示す結果を得ている。 ④ ヒト腸腫瘍におけるARID1Aの発現解析 :ヒト腸腫瘍におけるARID1Aの発現解析を行うために、ヒト腸腫瘍由来オルガノイドを30例以上樹立している。 上記①-④は1年目の研究計画内容に該当し、③は2年目の研究計画内容に該当する。以上を持って、研究課題の進捗状況としては概ね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
① Conventional & Alternative 経路のマウス腸腫瘍におけるArid1aの機能解析 :Conventional 経路及び、Alternative それぞれの経路におけるArid1aを腸特異的、または腫瘍幹細胞特異的にノックアウトした腫瘍モデルマウスの機能解析を継続する。 ② マウス腸腫瘍発生におけるArid1aの分子制御機構の解明 :網羅的遺伝子発現解析・ChIP解析の結果から得られたエピジェネティックな分子制御機構の中心となる候補遺伝子を同定し、更なる機能解析を行う。 ③ マウス腸腫瘍オルガノイドを用いた薬剤感受性試験 :マウス腸腫瘍オルガノイドを用いて、Arid1aとの合成致死性が報告されている他の薬剤の感受性試験を継続する。 ④ ヒト腸腫瘍におけるARID1Aの発現解析 :樹立したヒト腸腫瘍由来オルガノイドを用いて、マウスモデルで得られた候補遺伝子に関する機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初の実験計画からの遅滞に伴い、該当実験を翌年度に遂行するために必要な経費を翌年度に繰越としたため
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[Journal Article] Concurrent activation of Kras and canonical Wnt signaling induces premalignant lesions that progress to extrahepatic biliary cancer in mice.2022
Author(s)
Nagao M, Fukuda A, Omatsu M, Namikawa M, Sono M, Fukunaga Y, Masuda T, Araki O, Yoshikawa T, Ogawa S, Masuo K, Goto N, Hiramatsu Y, Muta Y, Tsuda M, Maruno T, Nakanishi Y, Taketo MM, Ferrer J, Tsuruyama T, Nakanuma Y, Taura K, Uemoto S, Seno H.
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Journal Title
Cancer Res.
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Brg1 is required to maintain colorectal cancer stem cells2021
Author(s)
Yoshikawa Takaaki、Fukuda Akihisa、Omatsu Mayuki、Namikawa Mio、Sono Makoto、Fukunaga Yuichi、Masuda Tomonori、Araki Osamu、Nagao Munemasa、Ogawa Satoshi、Masuo Kenji、Goto Norihiro、Hiramatsu Yukiko、Muta Yu、Tsuda Motoyuki、Maruno Takahisa、Nakanishi Yuki、Kawada Kenji、Takaishi Shigeo、Seno Hiroshi
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Journal Title
The Journal of Pathology
Volume: 255
Pages: 257~269
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research