2023 Fiscal Year Annual Research Report
異なる経路での腸腫瘍発生におけるクロマチンリモデリング因子の機能的役割の解明
Project/Area Number |
21K15948
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 由紀子 (平松由紀子) 京都大学, 医学研究科, 医員 (60876184)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大腸癌 / エピジェネティクス / Arid1a |
Outline of Annual Research Achievements |
Conventional 経路の腸腫瘍におけるArid1aの機能解析を行うために、Wnt依存性腸腫瘍モデルマウスと同時にArid1aを欠失させたマウスを作成・解析し、比較解析を行なった。加えて、ヒト大腸腺腫から樹立したオルガノイドを用いて、腸腫瘍におけるArid1aの機能を検討した。マウスモデル、オルガノイドいずれにおいても、ARID1A 欠失モデルでは増殖能が抑制され、ARID1Aが腫瘍促進的に働くことが示唆された。加えて、遺伝子発現解析ではARID1AをKDしたオルガノイドではcell cycle制御因子の発現が亢進していた。 Alternative 経路ではKRAS変異、BRAF変異下それぞれでp53ノックアウトを加え、さらにArid1aを欠損させたマウスを作成し、それぞれの腸腫瘍形成能の比較解析を行った。Arid1a欠失マウスではSSLに特徴的な組織学的表現系を呈し、ヒト鋸歯状病変のマーカー発現の亢進を認めた。Arid1a欠失マウスでは腸腫瘍数は増加し、炎症細胞の著明な増加を認め、浸潤癌・リンパ節転移、生存率の低下を認めた。これらの結果からAlternative経路ではArid1aが腸腫瘍抑制的に働いていることが示唆された。ヒト大腸SSL由来オルガノイドを用いて炎症系因子の発現について検討したところ、ARID1A KDオルガノイドでは、腫瘍促進的に働く炎症系ケモカインに加え、ケモカインレセプターの発現上昇を認めた。 これらの結果を踏まえ、それぞれの経路において、中心的な役割を果たす制御因子に対する薬剤を用いてキャンセル実験を行ったところ、それぞれのフェノタイプがキャンセルされた。この結果を元に新規薬剤開発を今後行う予定である。
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