2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of non-invasive biomarker to detect colorectal cancer using urinary long non-coding RNA
Project/Area Number |
21K15956
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岩崎 弘靖 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (30867627)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイオマーカー / lncRNA / 尿 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿中long noncoding RNA(lncRNA)をパネル化することによる大腸癌診断バイオマーカーの樹立を目指して研究を進めている。昨年度網羅的な尿中lncRNAの解析から大腸癌の尿中lncRNAバイオマーカー候補の抽出、その定量と多変量解析による尿中バイオマーカーの樹立、独立したコホートでのバイオマーカーの検証までを予定していた。しかしながら、別述のように尿検体を用いたマイクロアレイ解析がなかなかうまくいかず、結果が得られない状態が続いていたため、lncRNAの網羅的解析に組織検体(FFPE)を用いたRNAシークエンスを用いることへと大きく方針の転換が必要となった。そこで多くの時間を要することとなったため、当初の研究予定よりも遅れが生じている。RNAシークエンスによる網羅的解析も検体のクオリティから結果が得られるか危ぶまれたが、無事施行することができ、結果が得られた。今後、大腸癌組織にて発現差が認められたlncRNAに対しトレーニングコホートの尿検体を用いて定量PCRを行い、尿中lncRNAバイオマーカーの樹立を最優先にて行う。その後、別コホートを用いて樹立されたバイオマーカーの有用性の検証を行う。大腸癌細胞株やモデル動物を用いた治療ターゲットとしての可能性を探る検討へと進めていく予定である。当初予定されていたlncRNAの機能解析については、主研究の遅れもあり、時間と予算が許す範囲にて行うことと変更した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
尿からRNAを検出し、マイクロアレイでの分析を行うため、マイクロアレイコホートの尿中よりRNAの抽出を行った。しかしながら、作成した検体を用いてマイクロアレイのためのCy3ラベリングを行うとうまくいかなかった。検体に含まれるRNA量が少ないことが原因と考えられたため、RNA抽出に使用する尿量を増量したり、抽出時の作業工程を見直したり、何度も検体を作成し直したが、やはりラベル化がうまくいかなかった。 尿中にはマイクロアレイ解析に必要なRNA量が含まれていないと考えられたが、以前の予備実験において、尿中よりlncRNAが定量PCRでは検出可能であることが確認されていたため、網羅的解析を尿検体ではなく、組織検体(FFPE)にて行う方針へ変更した。そこで、FFPE検体からRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を試みたが、施行前のクオリティチェックにおいて、抽出されたRNAに予想以上の断片化が認められ、マイクロアレイ解析には使用できないと判断された。そこで、FFPEから抽出したRNAをRNAシークエンスで網羅的に解析する方針へ再度変更した。RNAシークエンス前のクオリティチェックにてもやはり断片化が進んでいる点が問題となったが、そのまま解析を施行し、無事結果が得られた。 上記のように網羅的解析の段階で、なかなか予定された通りに結果が得られず、検体から抽出、検体の評価、解析の施行を繰り返すこととなり、当初の研究予定より遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
ディスカバリーコホートを用いたRNAシークエンスにより抽出された、正常組織より大腸癌組織にて過剰発現あるいは発現抑制しているlncRNAを発現差と発現量を勘案し、上位10種ほどに絞り、それぞれに対するプライマーを作成し、トレーニングコホートの尿検体を用いて定量PCRにて発現解析を行う。 その後多変量解析にて独立した尿中lncRNAバイオマーカーを抽出し、ロジスティック回帰法にてパネル化したのち、そのバイオマーカーとしての有用性をROC曲線にて評価する。また、そのバイオマーカーを独立したバリデーションコホートを用いて定量PCRで発現を評価する。加えてROC曲線にてもバイオマーカーの大腸癌診断能を確認する。 当初の予定ではバイオマーカーと同定されたlncRNA の機能解析も行う予定であったが、計画より実験が遅れているため、治療ターゲットしての可能性の模索を優先する。具体的には、まずin vitroでlncRNAのノックダウン(siRNAあるいはantisense oligonucleotide)が、大腸癌細胞株に与える影響を評価する。そこで治療ターゲットして好ましい影響(増殖抑制、浸潤・進展抑制等)が見られたら、モデル動物を用いて、in vivoでも効果があることを確認する。 その後、時間並びに予算の許す範囲で機能解析(ウェスタンブロット、レポーターアッセイ、RNAプルダウン等)を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、多数の検体を用いて定量PCRを行っていく予定であったため、予算を割り振ったが、研究の最初に行った網羅的解析がなかなかうまくいかず、実験方法の変更や遅れが生じたため、昨年度に行う予定だった実験が予定通り行えない結果となった。そのため、昨年度使用しなかった予算を本年度に繰り越して、昨年行えなかった実験を行うための予算(主に定量PCRを行うための試薬、物品費)として使用していく予定である。
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