2022 Fiscal Year Research-status Report
印環細胞型胃癌の内皮細胞依存的スキルス性獲得メカニズムの解析と標的治療
Project/Area Number |
21K15965
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑 昌宏 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (90892505)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 胃癌 / スキルス胃癌 / 腫瘍免疫微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヒトの印環細胞型胃癌、いわゆるスキルス胃癌を模倣する独自のマウスモデル(Tff1-Cre; LSL-p53 R172H; Tgfbr2 F/F; Cdh1 F/F、T1-PTCマウス)を用いて、浸潤性胃癌組織全体のスキルス性獲得メカニズムを解析し、それを抑制することで生命予後延長に繋げることを目標としている。 本年度は、CD38特異的中和抗体・CD105特異的抗体(TRC-105)による治療後腫瘍の各細胞分画の遺伝子解析を試みた。しかし、治療マウスのFACSによる各細胞の回収に難渋し、CD38抗体治療後腫瘍のCAFのみ解析が可能となったためその結果を示す(元々線維化が強い組織であることや治療後の変化による細胞数減少などが原因と推測している)。T1-PTCマウス、T1-PCマウス、CD38抗体治療マウスの3群で主成分解析を施行すると、腫瘍細胞におけるTgfbr2 KOが腫瘍内CAFにもたらす遺伝子的変化をCD38抗体が部分的にキャンセルしていると考えられた。そこでT1-PCのCAFに比しT1-PTCのCAFで発現が上昇し、かつCD38抗体治療によって発現が低下した遺伝子を抽出し解析を行ったところ、CAFにおけるサイトカインやインターフェロンγに対する反応、線維芽細胞増殖因子への応答に関する遺伝子群が特定され、すなわち線維芽細胞増殖(線維化)がCD38抗体治療によって軽減していることが示唆された。具体的な遺伝子としては、Ccl12・Flrt3・FGF9・Trpm2・Vav2が含まれており、これらがスキルス胃癌におけるTgfbr2 KOとCD38発現に関連し、線維化に寄与している可能性があると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
T1-PTCマウスの繁殖の不安定さを前年度も報告しており、現在も十分量のマウスを確保できていないものの、実験自体は進行している。FACSによる細胞回収についても線維化が極めて強固で単細胞化が困難であることが手技の難度を高度化しており、実際計画の一部の解析に留めている(CAFのみとし内皮細胞や血球細胞は他の実験系を検討)。 リン酸化プロテオーム解析によって新規治療薬候補となったPAK阻害剤によるin vivoでの評価は上記理由から保留していたが、腫瘍オルガノイドの2次元化に挑戦しており、細胞培養可能となった際にはXenograft modelでの治療を検討する。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウスの供給体制の安定化を継続する。 リン酸化プロテオーム解析により新規治療薬候補となったPAK阻害剤による治療効果評価法を検討する。
|