2021 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患におけるIFN-1-RIP1経路による腸上皮細胞死誘導機構の解明
Project/Area Number |
21K15967
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 剛 東京医科歯科大学, 高等研究院, プロジェクト助教 (20733900)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | type1 IFN / RIP1 / アポトーシス / ネクロプトーシステム / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年10月研究代表者が本科研費の辞退を申請するため、短期間ではあるが得られた研究経過を簡単に報告する。研究代表者は炎症性腸疾患における腸上皮細胞におけるIFN-1応答と「腸上皮オートファジー」に着目し、マウス腸上皮オルガノイドを用いた機能解析等を行なってきた。その結果、1) IFN-1は細胞死(アポトーシス及びネクロプトーシス)を誘導すること、2)同細胞死応答はAtg16L1の機能を欠失した腸上皮では著しく増幅されることを明らかとした。同時に細胞死制御におけるキー分子の一つであるRIP1に注目し、RIP1D138Nマウス(RIP1キナーゼ活性を不活化したマウス)とAtg16L1欠損マウスを用いて解析を行い、1)RIP1キナーゼ不活化によりIFN-1誘導性細胞死に抵抗性を示し、2) オートファジー欠損条件下においてもRIP1キナーゼ不活化によりIFN-1誘導細胞死が抑制される、という新たな知見を得た。研究代表者はこれまでにIFN-1が腸上皮のTNF-α分泌を促し、オートクライン機構により細胞死を誘導し得ることを示している。そのため内視鏡生検検体からヒト腸上皮オルガノイドを作成し、IFN-1による細胞死誘導がTNF-αまたはTRAIL分泌に依存的か否かを中和抗体を用いて検証を行ったところIFN-1誘導性細胞死への影響は認めなかった。続いてヒト腸上皮におけるJAKファミリーの分布やIFN- 1下流の遺伝子発現の詳細が明らかとなっていないため、qPCR、WBなどを用いて現在解析を行っている。同時にオートファジー機能障害を背景としたIFN-1-RIP1経路活性化の表現型において、Atg16L1とRIP 1が如何に関連しているのか、培養細胞を用いたRIP1過剰発現系におけるAtg16L1との免疫沈降などを行いオートファジーとIFN-1-RIP1経路の関連について解析中である。
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