2022 Fiscal Year Annual Research Report
腸炎の病態形成における新規オートファジー関連ユビキチンリガーゼの役割
Project/Area Number |
21K15968
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
仁部 洋一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (30793351)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | GOMED / ユビキチン / ユビキチンリガーゼ / 炎症性腸疾患 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患の感受性遺伝子としてオートファジー関連分子が同定され、その病態への深い関与が示唆された。申請者のグループは、飢餓等で起こる従来型オートファジーとは大きく異なる分子メカニズムを介した細胞内分解機構として、新規オートファジーを発見した。申請者は、この時分解される基質の標識としてユビキチンが利用される可能性を見出した。しかしながら、その制御機構と病態生理学的意義に関しては未だ不明な点が多い。 申請者らのグループは、新規オートファジーに関わるユビキチンリガーゼとしてTRIM31を同定したが、この欠損マウスではデキストラン硫酸ナトリウム誘導性(DSS)腸炎が増悪することが報告されている。即ち、新規オートファジーの基質残存が、腸炎増悪の原因となっている可能性が示された。これらの知見に基づき、本研究では、①ヒトの腸炎で、新規オートファジーの変調がどの程度見られるか?②新規オートファジーの変調(基質の分解不全)から腸炎増悪に至る病態メカニズムはどのようなものか?③基質の分解促進は腸炎の病態改善に寄与するか?を明らかにする。 本研究期間において、①では特に、新規オートファジーの異常を有する超早期発症型炎症性腸疾患の病態解析を行った。この症例においては、新規オートファジーが途中で停止している状態にあると示唆された。また、①と関連して、②において、血球でのサイトカイン分解や、腸管上皮細胞におけるMucinの分泌・分解不全などが、腸炎の病態形成に密接に関与する可能性を見出した。③に関しては、現在既存薬1500種類から新規オートファジーを亢進させる薬剤を選び出した。さらに、それらのなかからサイトカインを分解するような候補薬をすでに10程度選定した。以上のように、新規オートファジーの異常を有するヒト腸炎の解析はおおむね順調に推移しており、今後も精緻な研究を進めていく。
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Research Products
(2 results)