2021 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患関連大腸癌の免疫微小環境に影響を与える重要因子の検索
Project/Area Number |
21K15971
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石川 恵里 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (70872894)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患関連腫瘍 / 炎症性腸疾患関連大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患(IBD)関連大腸癌において、その免疫微小環境プロファイルはどのようであるか、またEpstein-Barr virus(EBV)との関連はどのようであるかを明らかにすることを目的として研究を進めている。まずは内視鏡的または外科的切除されたIBD関連大腸癌症例を抽出した。IBDと関連なく発症する散発性大腸癌を鑑別するため、p53、Ki-67の免疫組織化学染色を行った。IBD関連大腸癌のホルマリン固定パラフィン包埋切片より未染標本を作製し、CD3、CD8、PD-L1、PD-1、CD68の免疫組織化学染色を行い、病期や脈管侵襲、IBD治療歴、予後との関連を評価している。EBER in situ hybridizationにより腫瘍細胞と免疫微小環境のリンパ球のEBV発現も併せて評価し、EBVとPD-L1発現の関連も検討している。PD-L1発現はSP142抗体を用いて評価を行ったが、当初の予想より陽性症例は少数であった。これまでに他の癌種での検討において、SP142は腫瘍細胞、免疫細胞ともPD-L1発現を検出する感度が低いことが報告されており、他の種類の抗体による追加評価を検討している。また、新規治療薬として期待されている免疫チェックポイント阻害薬の効果は、PD-L1発現と相関すると考えられている高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-high)の有無との関連が示唆されている。MSI-highはミスマッチ修復に関連するタンパクの免疫染色を検討することで予測できるとされており、MSH6、PMS2の抗体を用いて評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PD-L1陽性例が当初の予測より少数であったため、使用抗体の種類を変更しての追加評価を考慮している。また免疫染色結果の定量化方法を検討しており、これらのことより当初よりデータ解析に少し時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のうち一部症例についてホルマリン固定パラフィン包埋切片由来の未染標本よりRNA抽出を行い、RNA品質が十分であったEBV陽性・陰性12例についてPanCancer Immune Profilingパネルを用いてデジタルカウント遺伝子発現解析(nCounter)を施行し、データ解析を行う。ある程度の差異が判明すればさらに症例を増やす予定である。
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Causes of Carryover |
PD-L1発現を含む免疫組織化学染色結果の評価において上記のとおり現時点で課題が残り、PanCancer Immune Profilingパネルを用いたデジタルカウント遺伝子発現解析(nCounter)を行う症例の抽出に時間を要しているため。症例の抽出が完了し次第、EBVやPD-L1発現が免疫微小環境プロファイルにどのように関連しているか比較検討し、さらなる解析を進める。
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