2022 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of the relationship between ploidy alterations and senescence of hepatocytes in liver injuries
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21K15974
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 知訓 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (40886610)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多倍体化 / 細胞老化 / 肝障害 / DNA傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、加齢や慢性臓器障害の過程で亢進・蓄積が認められる多倍体化と細胞老化という2つの細胞様態の変化に着目し、その相互作用を解明することにより、老化細胞の生成・維持メカニズムを明らかにすることを目指す。具体的には、代表的な多倍体臓器であると同時に慢性障害下での老化細胞の蓄積が病態に深く関わることが知られる肝臓を対象とし、特に①多倍体化は細胞老化誘導を促進あるいは抑制するのか、②細胞老化の誘導過程は多倍体化を伴うのか 、を主な課題としてこれらを解き明かす。これにより、細胞老化の誘導・維持における倍数性変化の意義を系統的に明らかとすることを目標とする。 肝癌細胞株であるHuh7細胞およびヒト正常2倍体上皮細胞であるRPE1細胞に、細胞周期状態を可視化することができるFucci(Fluorescent Ubiquitination-based Cell Cycle Indicator)を導入した細胞を作製した。そして同細胞に対し各種細胞障害を誘導し、細胞老化の誘導、およびその過程での倍数性変化を検討した。その結果、細胞老化過程にはしばしば多倍体化を伴うこと、しかし多倍体化は必須ではなく2倍体のまま細胞老化に至る細胞も一定数存在することが明らかとなった。一方、Huh7細胞を起源とする安定多倍体細胞株を樹立し、親細胞とのDNA傷害の蓄積を比較したところ、多倍体細胞では有意にDNA傷害が蓄積していることが明らかとなった。また急性多倍体化の惹起によってもDNA傷害が誘導されることが分かった。さらに肝障害を誘導したマウスモデルにおいても、多倍体肝細胞の方がDNA傷害を受けp21陽性となりやすいことも示唆されている。多倍体化および多倍体であることは細胞老化の惹起に必須ではないが、DNA傷害の蓄積と関連することで細胞老化の誘導に密接に関わっていることが明らかとなった。
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