2021 Fiscal Year Research-status Report
膵がんオルガノイドモデルを用いた腫瘍溶解性ヘルペスウイルスベクターの開発
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21K15986
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
黒田 誠司 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (00740622)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解性ヘルペスウイルス / 膵がんオルガノイドモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は、国内外の臨床試験で抗腫瘍効果・安全性について良好な成績が得られている腫瘍溶解性ヘルペスウイルスC-REVを基盤として、難治性である膵癌を標的とした新規腫瘍溶解性ヘルペスウイルス(oHSV)ベクターの開発に膵がんオルガノイドモデルを利用して取り組む、というものである。 研究計画の初年度である本年度は、生体内の腫瘍の状態をより正確に再現できる膵がんオルガノイドモデルの3次元培養を行なった。そして、作成したプロトコールにより数回の継代が可能であることを確認し凍結ストックを確保した。また、その際、同腫瘍から分離培養したがん関連線維芽細胞(CAF)等との共培養を行い、ソースとなったがん組織と比較し、腫瘍の性質が保たれているか現在、解析中である。 また、C-REVウイルスゲノムのBAC化に成功し、ウイルスとしてのゲノム構造解析および機能解析を行った。具体的にはC-REVゲノムへのBACの挿入にて作成したC-REV-BAC DNAをコンピテントセルへtransformationした。そして再度BAC DNAを精製しDigestion patternを確認するとともに、transfectionにて再度作成したC-REV-BACウイルスの増殖性の回復を確認し、それらのデータを基に有望なクローンを複数同定した。今後、それらを最終確認として全ゲノムシークエンス解析を行う予定であり、現在それらのDNA抽出を進めている段階である。解析後にはC-REVゲノムの遺伝子改変に利用可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた実験は当初の想定通り進んでおり、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、C-REVウイルスゲノムのBAC化に成功したC-REV-BACを基盤に様々な遺伝子改変を施し、新規のウイルス変異体を作成する。 次にin vitro・in vivoにてそれらの腫瘍溶解性の評価を行い、得られた解析結果を統合して膵がん細胞破壊に有用な遺伝子変異を同定し、膵がん治療に効果的な改良型C-REVの作成を目指す。 その際、生体内のがん微小環境により近い状態が再現できる、がんオルガノイド3次元培養系を用いて評価することで改良型C-REVの治療効果を正確に解析する。
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Causes of Carryover |
C-REV-BACウイルスクローンの選定に時間を要し、全ゲノムシークエンス解析を行うのが遅れたため。 現在、解析用に複数のBAC DNAの抽出を進めており、終了次第シークエンス解析へ移行する予定である。
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Research Products
(2 results)