2021 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of early diagnostic markers of biliary tract cancers using organoid-based carcinogenesis model
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21K15990
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉原 靖典 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (60896380)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 胆道がん / オルガノイド / 診断マーカー / 発がん |
Outline of Annual Research Achievements |
難治がんである胆道がんの予後改善には早期診断が重要だが、画像診断等による胆道がん早期病変の検出には制約が大きい。このため、多くの臓器のがんで年齢調整死亡率が徐々に改善傾向にある中、胆道がんにおいては予後の改善が見られていないことが課題と言える。研究代表者は、近年注目されているオルガノイドを用いることで、従来の遺伝子改変マウスとは異なったアプローチの新規胆道がんモデルマウスを報告した。これらの皮下腫瘍から得られるオルガノイドはそれぞれ正常胆道上皮、早期病変、がんなどの病変に対応しており、多段階の胆道発がん過程を再現しているものと考えられる。このことから、当該モデルは早期病変特異的診断マーカーの開発においても有用性が高いと考えられる。 本研究は、難治性固形がんである胆道がんの早期発見ならびにこれによる予後改善を実現するために、胆道がん(胆管がん・胆嚢がん)の前がん病変(胆道上皮内腫瘍 BilIN や 胆管内乳頭状腫瘍 IPNB など)に相当するオルガノイドを用いた胆道発がん過程再現モデルを応用することで、従来は困難の多かった胆道がん前がん病変を解析対象とし、効率的に真に有用な胆道がんの早期診断マーカーを探索し、それによる胆道がんの予後改善を目指すことを目的とする。 今年度は、従前報告したモデルより得られた保存されていた胆道オルガノイドのうち今後の解析に適したものの収集や培養を行い、適切な状態であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19流行に伴う、研究環境と診療業務の負担増大のため。
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Strategy for Future Research Activity |
<マウスオルガノイドを用いた胆道早期病変の変異プロファイルの解析> Kras変異および主要ながん抑制遺伝子のノックダウンにより作成した胆道早期病変(BilIN, IPNM)やがんに相当するオルガノイドや皮下腫瘍が凍結保存されている。これらオルガノイド・皮下腫瘍からDNA, RNAを抽出し、RNAseqによる網羅的遺伝子発現解析、次世代シークエンサーを&用いたゲノム解析(全ゲノム解析・コピー数解析など)を行い、早期病変における変異プロファイルを明らかにする 。 <胆道がん前がん病変や培養上清の遺伝子発現解析・プロテオミクス解析> 次年度以降はオルガノイドあるいは培養上清中より回収したタンパクを用いてプロテオミクス解析を行う。同じ変異遺伝子を有する複数のオルガノイドの解析を行い、安定して再現性のある変化の同定を試みる。これらの解析結果から早期診断マーカー候補を抽出する。有望なものについては、ヒト検体を用いて、診断マーカーとしての臨床的な有用性をさらに検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 流行に伴う研究計画の遅れに伴って、遅延分の研究計画を遂行するため次年度使用額が生じた。
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