2022 Fiscal Year Research-status Report
慢性肝不全急性増悪に対する間葉系幹細胞と老化排除剤の検証
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21K15993
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡邉 雄介 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (00883844)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ACLF / Navitoclax / SASP / ミトコンドリア機能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】慢性肝不全急性増悪(ACLF)は致死率の高い予後不良な疾患である。ACLFに対する根治治療としては肝移植があるが、移植治療だけでは救命率が改善せず、新規治療開発が望まれる状況である。ACLFの機序には肝細胞老化の関与が示唆されており、老化細胞を除去する薬剤であるNavitoclaxを用いて、ACLFの新規治療を基盤研究の面から模索した。2021年度には、ACLFマウスの作成と、同マウスに対するNavitoclaxの効果の検証を実施した。2022年度には、Navitoclaxの効果効能に介在する機序の解明のために、In vitro、In vivoでミトコンドリア機能評価を実施した。 【方法】In vitroでは、放射線照射(Total 1.0 Gy)で作成した老化肝細胞に、Navitoclaxを添加し、ATP合成量の計測と膜電位の測定を行った。In vivoでは、ACLFマウスにNavitoclaxを投与した後に、肝臓におけるATP合成量を計測した。 【結果】In vitroでは、放射線照射後にATP合成量が有意に低下し、Navitoclax添加後にATP合成量が増加した(いずれもp < 0.01)。膜電位測定においては、放射線照射後に低下し膜電位が、Navitoclax添加後に上昇した(いずれもp < 0.01)。In vivoでは、ACLFマウスに生理食塩水を投与したコントロール群ではATP合成量が低下していたが、Navitoclaxを投与した群ではATP合成量が増加した。 【結論】上記の結果から、介在する機序には『ミトコンドリア機能の改善』が最も想定される。さらに介在する機序を解明して、ACLFに対する新規治療開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度における今後の研究の推進方策に、2022年度には、Navitoclaxの効果効能に介在する機序の検証と設定した。上記の研究実績の概要の通り、現在までは当初の計画に対して順調な進捗であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度と今年度の研究により、ACLFに対するNavitoclaxの効果を明らかにし、介在する機序の一部を解明した。本課題のもう一つの目的は、ACLFに対するMSCの併用効果を明らかにすることであるため、次年度にはMSC+Navitoclaxの効果を検証する方針とする。 また、次年度には、平行して、明らかにしたことを論文報告や学会発表で総括することを実施予定とする。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス状況下で、遠方(特に海外学会等)への発表や情報収集のための学会参加ができなかったため。 市井における物品不足の影響で間葉系幹細胞(MSC)の購入ができず、その部分に関連した実験計画の遅れが生じているため。
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