2022 Fiscal Year Research-status Report
ヘルパーT細胞受容体を用いた肝癌治療に関する基礎的検討
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21K15994
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
玉井 利克 金沢大学, 医学系, 助教 (40782082)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヘルパーT細胞 / T細胞受容体 / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肝癌腫瘍抗原を認識するヘルパーT細胞(HTL)のT細胞受容体(TCR)を取得し、それらの中から肝癌治療に有効と考えられるTCRを選択し、ヒト肝癌治療へ応用していくための基礎的データを得ることである。本研究で取得したTCR単独もしくは、MHC(Major Histocompatibility Complex:主要組織適合性複合体)-classⅠ拘束性の肝癌関連抗原特異的なTCRと組み合わせた治療も今後期待できる。 本研究は次の手順で行う。①ペプチド特異的HTLの検出およびペプチド特異的TCR遺伝子の取得、②ペプチド特異的TCR遺伝子改変T細胞の作製と機能解析、③クローニングしたTCRを用いた癌免疫療法の基礎的検討を順に行っていく。昨年度、外注で合成したMHC-classⅡ拘束性の肝癌由来ペプチドのテトラマーを用いて、肝がん患者の末梢血からテトラマー陽性細胞をシングルソーティングしてきた。同時に、ネガティブコントロールとして既成のMHC-classⅡ拘束性ペプチドのテトラマーを用いて、並行してそのテトラマー陽性細胞をシングルソーティングした。現在、それらの細胞のTCRのクローニングを行っているところである。今後は、それらのTCRを発現させるベクターを作成し、まず取得したTCRがペプチド特異的なものかどうかを検証する。それらのTCRのペプチド特異性を確認できれば、次にヒトリンパ球を用いて目的のTCRを導入したT細胞のサイトカイン産生能などの機能的評価を行っていく。最終的には、in vitroでの機能的評価まで行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
テトラマー陽性細胞を検出するのに時間を要しており、当初の計画からみると遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
TCRレパートリー解析、TCR発現ベクターの構築、ペプチド特異性の確認をしたうえで、その機能解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
肝がん患者の末梢血でのテトラマー陽性細胞の取得に時間を要し、当初のタイムラインより遅れている。また、コロナ禍に伴う現地学会がなかったこともあり、当初予定していた額より経費が少なくなり次年度使用額が生じた。次年度は特異的TCRの機能解析まで行いたいと考えている。
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