2023 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患における線維芽細胞の多様性の生物学的意義の解明とその制御
Project/Area Number |
21K15995
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水谷 泰之 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50831393)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | Stra6 / Meflin / がん抑制性線維芽細胞 / ISLR / MIKE-1治験 / 膵がん |
Outline of Annual Research Achievements |
がん関連線維芽細胞(CAF)には多様性があることが知られている.我々は「がん抑制性CAF」(rCAF)の初のマーカーとしてMeflinを世界に先駆けて同定し,その機能がTGF-βシグナルおよびコラーゲン架橋の抑制による線維化の抑制であることを報告した.また,がんの進行に伴って,Meflin陽性rCAFが,Meflin陰性/弱陽性のがん促進性CAF(pCAF)に形質変化することも明らかにした. 次にpCAFをrCAFに変換する薬剤として人工合成レチノイドAm80を同定した.膵がんマウスモデルにAm80を投与するとrCAFの数が増加し,間質圧の低下と腫瘍血管径の増大により抗がん剤の腫瘍送達が向上した(間質初期化治療法).現在,我々は本知見をもとに,切除不能膵がん患者を対象として,標準治療法とAm80の併用の安全性と有効性を検証する医師主導治験(I/II相)を実施中である。 最近我々は,ビタミンA/レチノイド輸送体Stra6がCAFに特異的に発現すること,および,Stra6を介したAm80の取り込みによってrCAFの形質が維持されることを見出した.Stra6欠損マウスではAm80による殺細胞性抗がん剤の効果の増強はみられなかった.また同様にICIとAM80併用によるICIの際細胞性効果の増強はみられなかった。 これらのデータは,CAFにおけるStra6の発現が間質初期化治療法の治療効果を予測するバイオマーカーになり得ることを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスモデルの作成に時間がかかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
がん抑制性線維芽細胞におけるビタミンAの重要性について明らかにしていく。
|
Causes of Carryover |
マウスモデル作成が遅れているため2024年度に使用をする。
|