2023 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞由来肝類洞内皮細胞の作製と肝線維化治療への応用
Project/Area Number |
21K16008
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
三谷 成二 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70850212)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝臓 / 幹細胞 / 肝類洞内皮細胞 / 線維化 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、ヒト幹細胞から肝類洞内皮細胞(liver sinusoidal endothelial cell; LSEC)を分化誘導する技術の確立および肝線維化治療に向けた検討を目的としている。 まず、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)からのLSECの分化誘導技術開発を実施した。ヒトiPS細胞から中胚葉細胞への分化過程における各種サイトカイン、化合物の作用条件をLSEC前駆細胞分化に適するように改良することで、LSEC前駆細胞への分化誘導効率が向上した。また、このLSEC前駆細胞は血液凝固第VIII因子(FVIII)を分泌する機能的なLSEC様細胞へと分化誘導が可能であった。つづいて、この分化誘導法で作製したヒトiPS細胞由来LSEC前駆細胞をマウスに移植する実験を実施した。分化誘導後のiPSC由来CD34陽性細胞を免疫不全マウスに対して経脾臓的に肝臓へ移植した結果、マウス肝臓にヒト細胞が確認され、マウス血中からヒトFVIIIが検出された。このことから、移植した細胞がマウス肝臓内に生着し、分化していることが示唆された。 加えて、LSECが障害を受けることによる肝線維化促進の機序解明を目的にLSECが障害を受けると発現が増加するVWF(von willebrand factor)に着目し、肝星細胞の活性化におけるVWFの機能解析を実施した。その結果、VWFタンパク質をヒト肝星細胞株であるLX2細胞へ作用させると活性化マーカーであるα-SMAの遺伝子発現が増加することが明らかとなった。この結果より、VWFが肝星細胞活性化を促進することで肝線維化促進に寄与する可能性が示唆された。
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