2021 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント阻害剤関連大腸炎発症機序、抗腫瘍効果増強機序の理解
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21K16010
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
牟田口 真 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (90868473)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年免疫チェックポイント阻害剤(immune-check point inhibitor;ICI)使用患者が増加している状態に比例してICI関連副作用(Immune check point inhibitor related adverse event: IrAE)患者数も増加している。現在のところIrAE大腸炎に対しては軽症であれば下痢止め、中等症以上であればステロイド、免疫抑制生物学的製剤を使用することとガイドラインに記載されている。しかし、実際にIrAE大腸炎発症時に内視鏡で確認することは少なく、臨床症状を元に治療が行われているのが実際で正確なメカニズムを元にした治療方針が確立しているとは言い難い。そこで、これまでに申請者はIrAE大腸炎の内視鏡像の特徴を多数報告してきた(Kayashima A, Mutaguchi M. CGJ 2020, Hayashi H, Mutaguchi M DDS 2020)。さらにこれまでに形態学的なアプローチを潰瘍性大腸炎さらには炎症性腸疾患患者における炎症由来の腫瘍、加齢に伴う腫瘍の内視鏡的な特徴を中心に経験を重ねてきた経験を有する(Mutaguchi M. Dig. Liv. Dis. 2019. Nomura E, Mutaguchi DDS 2020)。 昨年度当院にて免疫チェックポイント阻害剤を利用し下痢、血便などの症状を有した患者の協力のもと内視鏡を而してICIによる大腸炎患者を数名リクルートした。腸管内における内視鏡写真を元に病理学的な検討と比較を行い、CD4/CD8の細胞数比率について条件検討を行った。特にICI related colitis発症時の大腸内T細胞におけるTCRレパトアは多様性を示しており、治療後は特定のTCRレパトアに収束していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在当院にて免疫チェックポイント阻害剤を利用し下痢、血便などの症状を有した患者の協力のもと内視鏡を而してICIによる大腸炎患者をリクルートしている。現在数人のICI患者をリクルート済みであり便中の16S-rRNAseqをおこない、ICI大腸炎において固有の腸内細菌が増加していることを見出している。腸管内における内視鏡写真を元に病理学的な検討と比較を行っている。ICI related colitis発症時の大腸内T細胞におけるTCRレパトアは多様性を示しており、治療後は特定のTCRレパトアに収束していることを見出している。ICI大腸炎の際には多数のTCRレパトアが産生され反応している一方で、治療後は減少していることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度内視鏡写真と、病理写真の統合を行い、CADシステムを利用しICI関連大腸炎に特徴的な内視鏡像を検討する。またマウス研究で同様にICIモデルを作成し、その際の内視鏡写真、病理像と対比する。 とくにヒト腸管上皮解析を遂行し、オルガノイドを利用した系を利用することでどのような腸内細菌、腸管免疫細胞のシグナルを有しているかを検討する。
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Causes of Carryover |
マウス飼育施設工事のため一時的にマウスラインを縮小したために差額が生じた。来年度は予算通り使用予定である。
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