2023 Fiscal Year Annual Research Report
Rap1不活化制御による制御性T細胞の動態調節とその破綻による腸炎病態への影響
Project/Area Number |
21K16011
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
堀谷 俊介 関西医科大学, 医学部, 助教 (90701649)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インテグリン / Rap1 / Rasa3 / Sipa1 |
Outline of Annual Research Achievements |
Tリンパ球におけるRap1不活化制御因子Rasa3/Sipa1の生体内での役割の解明のため最終年度も実験を継続した。T細胞特異的なRasa3と Sipa1二重欠損マウス(DKO)を作製したところ、胸腺のT細胞の分化・産生に影響がないものの、末梢血やリンパ組織でT細胞数が著しく低下することが明らかとなった。このマウスのT細胞では抗原刺激やケモカインの活性化がなくても、Rap1が自発的に活性化し、インテグリンを介した接着が亢進した。T細胞のリンパ節への移動を検討するために蛍光標識してマウスに静脈投与したところ、肺の毛細血管に接着して滞留し、リンパ組織に到達しづらくなることが明らかとなった。肺の毛細血管にはインテグリンLFA1のリガンドであるICAM-1 が高発現しており、中和抗体によるLFA1の阻害やtalin1やRap1 の欠損により、DKOT細胞の肺への捕捉を阻害できることから、DKOT細胞は Rap1の活性化によりインテグリンが活性化されて肺の毛細血管に接着してしまうことが明らかとなった。また、DKOT 細胞ではリンパ節から移出する過程が破綻していることが明らかとなった。リンパ洞内ライブ組織イメージングから野生型のT細胞ではリンパ洞で動きが低下するのに対して、DKO T 細胞はリンパ洞で高い運動性を維持しリンパ洞内からリンパ節実質に頻繁に戻ることが観察された。DKO T 細胞はリンパ洞内でも動きが保たれるため、リンパ洞から実質へ戻ってしまうことよりリンパ節から移出しにくくなっていると考えられた。これらの結果から、円滑な T 細胞の再循環には Rap1を抑制して不必要なインテグリンの活性化を防ぐ必要があることが明らかとし2023年「Frontiers in Immunology」に掲載された。また、上記の内容を第52回日本免疫学会学術集会で発表した。
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