心不全患者における非侵襲的陽圧換気を併用した運動療法の有効性の検討

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 21K16013
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 神谷 究 北海道大学, 大学病院, 助教 (60797108)
• Project Period (FY): 2021-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 心不全 / 心臓リハビリテーション / 非侵襲的陽圧換気 / 運動療法

Outline of Annual Research Achievements

心不全患者では、長期安静臥床による身体的・精神的デコンディショニングや骨格筋委縮・心臓悪液質を来たしやすいため、急性期から運動療法を含む心臓リハビリテーションを導入することが重要とされている。しかし、心不全患者では運動による症状の増悪を来し心臓リハビリテーションが進まない症例も少なくない。近年の運動負荷を用いた研究では、心不全患者において、運動時に僧帽弁逆流の増大や左房圧の増大など血行動態増悪を来たし、運動耐用能の低下している症例が確認されている。安静時に左房圧上昇や肺高血圧を呈する急性心不全患者で非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)の有効性が報告されているが、運動時における安全性・有効性については十分検討されていない。本研究は，急性心不全もしくは慢性心不全急性増悪で入院となった患者を対象に、１）NPPV併用した運動の有効性と安全性に関しての検討と至適な換気設定の検討を行う、２）運動負荷心臓カテーテル検査と心エコー検査による評価を行い、NPPVが運動時の血行動態に与える影響の検討と効果が期待される患者の同定を行うことを目的とした。しかし、新型コロナウイルス感染の流行もあり予定通りには研究が進められていない。本年度は、心不全患者に対し、自転車エルゴメーターを用いた、非NPPV併用、NPPV併用の運動負荷検査を行い、その忍容性、安全性の確認を施行し、今後は、臥位エルゴメーターによる運動負荷時の血行動態評価を心臓カテーテル検査、心臓エコー検査にて施行する。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

研究初年度の当初の予定としては、心不全患者に対し、①自転車エルゴメーターを用いた、非NPPV併用、NPPV併用の運動負荷検査を行い、その忍容性、安全性の確認する、②臥位エルゴメーターによる運動負荷時の血行動態評価を心臓カテーテル検査、心臓エコー検査にて施行することであった。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行の影響があり、陽圧換気を使用した検査の実施に制限があり、研究症例登録がすすまなかった。

Strategy for Future Research Activity

今後は、PCR検査、胸部CT検査にて新型コロナウイルス感染を否定を行い、心不全患者の研究登録をすすめる。NPPV併用した運動負荷カテーテル検査、心エコー検査にて詳細な血行動態変化の観察を行い、効果的と考えられる換気設定、患者の同定を行う。換気設定、患者の同定が可能となれば、心不全入院早期より陽圧換気下運動療法を実施することで、その臨床的有効性について検討する。

Causes of Carryover

令和３年度にNPPV併用下の運動負荷検査の血行動態解析まで行う予定であったが、症例登録が少なく解析まで至らなかった。そのため計画を変更し、解析結果の学会発表、論文投稿は次年度に行うこととしたため未使用額が生じた。
未使用経費は、次年度の学会発表、論文投稿の経費に充てることとする。