2021 Fiscal Year Research-status Report
閉塞性動脈硬化症の疾患発症メカニズム解明を目的としたAkt関連領域の精査
Project/Area Number |
21K16018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松倉 満 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (70625566)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 下肢閉塞性動脈硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はASO疾患固有の発症メカニズムを同定することを目的として、Akt関連遺伝子領域を中心に精査を行う。 ASOのリスクファクターとしては他の動脈硬化性疾患と同様に高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙などが挙げられるが、遺伝的要因が独立に関係することも疫学的に証明されている。遺伝子多型の一種である一塩基多型 (SNPs)に着目して、アレル頻度の低いSNPsの検出を目的としてバイオバンクジャパン登録症例対象に新規にGWAS及びImputation analysisを施行(ASO患者サンプル 3000症例 vs 健常者サンプル 30000名)し720万SNPを対象に解析したが、明らかな責任遺伝子の同定には至らなかった。GWASのみでは疾患関連遺伝領域の検出に限界があると判断し、ASO患者サンプルから併存疾患の少ない65歳以下の患者24名を選択して全Exom解析を施行して公共database及びfilteringを行い有意な変異の蓄積を認める遺伝子領域を検出した。 これらに対してバックグラウンド(focusしている遺伝子以外)の変異率から、focusしている遺伝子に期待される変異数(expected)を求め、実際観測された変異数(observed)と比較することで、どの遺伝子に有意に変異が集積されているかを検定した。補正後のq値のcut-off値は 0.05として、3か所以上の遺伝子変異が蓄積されている35遺伝子領域に絞り込んだ。これら35遺伝子を対象にIPAを使用してタンパク質-タンパク質関連解析を施行した結果、AKt及びTP53を中心としたPPI networkを検出した。特にAkt(AKT8 virus oncogene cellular homolog)はマクロファージの貪食機能に関係し動脈硬化進展の全ての段階で密接に関与する。 東京大学医学部附属病院にて加療中の閉塞性動脈硬化症患者50例を目標に血清サンプル及び血管内プラークを収集して、Aktシグナル活性を中心とした関連領域の精査を行っている
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
患者サンプルの収集が遅れており、解析に必要な数に達していない状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
患者サンプル収集に関して、東京都健康長寿医療センターに協力を依頼する予定としている。また本研究では細胞実験の実施を想定しているため、同分野に長けている施設と協同して研究を進める方針を検討している。
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Causes of Carryover |
患者サンプル数が本解析に必要な数に達していないため、解析に使用するキットに関して消費期限が短いものは購入を次年度に繰り越しています。
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