2021 Fiscal Year Research-status Report
血管老化に着目した慢性血栓塞栓性肺高血圧症における血栓器質化機序の解明
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21K16023
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷口 悠 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80823046)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 深部静脈血栓 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)二光子顕微鏡を用いたPEAサンプルのホールマウントイメージング 血栓の線維化は二光子顕微鏡ではSHG(第2高調波発生光)技術により、染色ステップ なしで、直接可視化できる。これによって、摘除サンプル全体を俯瞰的に観察し、異なる器 質化ステージ(軽度―高度)の病変を同定し、イメージング、病理解析を行う。さらに、PEAサンプルは血管平滑筋様細胞、血管内皮様細胞・間葉系様細胞、血球系様 細胞など、様々な細胞種から構成されているが、これらの細胞群をisolectinによる血管壁の 描出と同時にそれぞれの細胞マーカー(αSMA, CD34, CD133など)の蛍光標識抗体を用 いて可視化する。これによって、種々の器質化ステージにおいて、どのような細胞群がどの ような局所性をもって、器質化に関わっているのかを可視化、解明する。これにより、既存の盲目的な病理解析では未解明であった、CTEPHにおいて、新鮮血 栓が器質化していく過程の解明につながる可能性が高い。今年度は二光子顕微鏡の故障があり、進めることができなかった。 2)血管老化マウスにおける血栓器質化反応の解析 下大静脈結紮により静脈血栓を形成させる。野生型マウスでは結紮後4日程度から血栓の線維化が始まり、14日目にはほぼ線維化が完成することが知られている。血管老化マウスに おいて、この血栓線維化の速度が野生型マウスより早いことを二光子顕微鏡によるSHG技術 により生体下に明らかにする。病理学的にマッソン染色による線維化の評価でも確認を行う。 また、線維化に先行して、好中球やマクロファージが血栓内に浸潤することも知られている が、血管老化マウスにおいて、より早期におこっていることを病理学的に検証する。これまでの解析結果では、血管老化マウスでは大型の血栓が形成されることが明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
二光子顕微鏡の共同研究先である神戸薬科大学での故障があっため、イメージング研究ができなかった。また、コロナ感染症問題もあり、CTEPHの手術サンプルの回収スピードが落ちたため。
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Strategy for Future Research Activity |
二光子顕微鏡を用いた臨床サンプルの解析を進めていく。 血管老化マウスを用いた基礎実験においては、下大静脈結紮術により形成された血栓サイズの比較と、同時に生体イメージング技術を駆使した機序解明を進めていく。
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Causes of Carryover |
昨年の二光子顕微鏡の故障により進行が遅れている。よって、約7万円程度と小額ではあるが、次年度に使用を持ち越した。
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