2021 Fiscal Year Research-status Report
神経調節制失神の発症ならびに予後規定因子の解明について
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21K16037
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
綾部 健吾 東海大学, 医学部, 講師 (90880013)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 失神 / 神経調節制失神 / ヘッドアップチルト検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、失神を主訴に救急外来もしくは循環器内科外来に来院した患者に着目する。臨床的に神経調節制失神(Neurally Mediated Syncope : NMS)が強く疑われた患者に対して、Head-up Tilt(HUT)検査入院を1泊2日で行う。
NMSは誘因がはっきりとしない場合も多く、また、突然に発症することで生活に支障を来たし、失神による外傷が起きる危険もある。しかしながら、現在までにNMSの確立された治療法や再発リスクを予測する方法は十分な研究が行われていない。実際の臨床現場においても、NMSは、①若年者に多く、確立された治療法がないこと、②一般的には予後良好と思われていることから、失神による外傷などの重篤な有害事象があるにもかかわらず、軽視されている点は否めない。十分な外来フォローアップが出来ていない点を重視し、積極的に対面診察ならびに電話でのフォローアップを行うことで、再失神の有無や状況を確認し、NMSを繰り返すリスクファクターを見出し、AC活性量と合わせて評価することで、再失神のリスクの階層化を目指している。
2016年から2019年までに失神精査でHUT検査を施行した患者の追跡調査を行い、再失神の割合ならびにチルト検査結果に基づく患者予後については解明し、論文発表した。この検査結果は、チルト検査を行うことの意義を証明し、またチルト検査が陰性であった場合に、積極的に植込み型心電計を植込み手術をすることが望ましいことを示唆する研究内容であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で示した通り、HUT検査が陰性であった場合の失神患者の心イベントの発生率は有意に高かったことは大きな発見でった。この結果により、失神精査でチルト検査を施行して陰性であった場合には、積極的にICMを植え込むことへの妥当性が示された。本研究は、以下のように論文発表を行った。
Ayabe, K., Komiyama, T., Yoshioka, et al. (2021). Clinical Significance of the Head-Up Tilt Test in Improving Prognosis in Patients with Possible Neurally Mediated Syncope.;Biology,10(9), 919.
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Strategy for Future Research Activity |
神経調節制失神患者の一般的な予後ならびにチルト検査の意義が示されたため、今後の研究の展望として、研究対象患者数を増やす一方で、分子学的、薬理学的アプローチからアデニル酸シクラーゼ活性と失神の関係をさらに研究する予定である。
また今回の研究で最大で3年強のフォローアップ期間であるため、さらに長期間のフォローを行い、失神の長期的予後についても研究を続ける。
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Causes of Carryover |
残りの2ヶ年の研究としては、血中アデニル酸シクラーゼならびにカテコラミンの測定をヘッドアップチルト検査時に施行する。その測定に費用がかかるため、当該繰越金も使用して、測定費用に充当する予定である。
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Research Products
(3 results)