2021 Fiscal Year Research-status Report
Prediction of Aortic Dissection by Aortic High-risk Lesion Using Non-obstructive Angioscopy
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21K16041
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小嶋 啓介 日本大学, 医学部, 助教 (10896559)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大動脈解離 / 血流維持型血管内視鏡 / 大動脈内視鏡 / 大動脈プラーク |
Outline of Annual Research Achievements |
急性大動脈解離は突然発症し、死亡率80%以上といわれる致死的で極めて重篤な疾患の一つである。また発症までは無症状であることが多く、発症前の早期診断が極めて困難である。我々は、従来の画像診断機器よりも大動脈内腔を詳細に評価できる大動脈内視鏡が、大動脈解離の予測因子になる可能性を報告してきた。今回我々は、大動脈内視鏡をもちいて大動脈内腔の微細な損傷をとらえ、その病変の形状から将来大動脈解離に発展し得るハイリスク病変を特定することを目的とする。 本研究を進めるにあたり①大動脈内視鏡で検出される内皮障害の有病率を明らかにすること、②2年間フォローし、ベースラインで大動脈内視鏡による内皮障害を有していた群では造影CTを施行する。内皮障害部位の大動脈に径の拡大やULPが生じていないか評価すること、③大動脈解離発症時には、解離のエントリー部位に相当する大動脈内視鏡所見を検討すること、を掲げている。 1年目であるR3年度は、症例のエントリーを開始して大動脈内視鏡および造影CTデータを集積し始めている。これらのデータによりベースラインの大動脈内腔の血管内皮障害の有病率をまず明らかにする。そしてエントリーした症例はフォローアップして、イベント追跡と2年後の造影CTでの変化を検討する予定である。 これらの検討により、大動脈内視鏡による血管内皮障害が、大動脈解離の発症前段階のハイリスク病変であるかどうかを明らかにする。これにより大動脈解離ハイリスク患者として発症前に予防できる可能性が出現し、大動脈解離による突然死のリスクを低減できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進捗状況としては、やや遅れていると思われる。その理由として未曾有の大災害ともいうべきコロナ禍があげられる。コロナ禍により、遠隔診療で代用されたり、カテーテル検査が延期され、症例のエントリーが思うように進んでいない状況である。1年目でエントリーを終了する予定であったが半年延長してエントリーを引き続き進めていく方針である。 エントリーされた症例に対しては、予定通り大動脈内視鏡、造影CTを行いデータを集積できており、またこれらのフォローアップも継続しているため、予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、遅れている症例エントリーを継続し当初の予定通り50例に達するまで進める予定である。その後は当初の計画通り、大動脈内視鏡による血管内皮障害が、大動脈解離の発症前段階のハイリスク病変であるかどうかを明らかにするために研究を進めていく。 まずベースラインでの大動脈内視鏡による内皮障害の種類、有病率を検討し、これらと造影CTによる所見の比較を行っていく。そしてフォローアップを行い、臨床イベントと2年後の造影CT所見の変化から大動脈内視鏡による大動脈解離に関連するハイリスク病変を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究を遂行するための新たなPC、およびPCソフトを購入した。さらに得られた知見を国際学会で発表することを予定していたが、実施概要に述べたようにエントリーが遅れていることもあり、次年度に目標を繰り越して推進していく方針である。このため次年度に残額を繰り越し、次年度使用額が生じた次第である。 次年度は、今後の推進方策で述べたように、収集したデータをあらゆる角度から分析し、研究を推進していく。そのために必要なPC部品やソフトを購入・充填し、ならびに国際学会出席のための旅費等に当てる予定である。
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