2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒト心臓一細胞マルチオミックス解析による心不全の分子病態の解明
Project/Area Number |
21K16047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 寛奈 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80890459)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 心不全 / 予後予測指標 / 一細胞解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全の病態は症例ごとに多様であり、臨床経過や治療応答性に大きな違いがあるものの、その背景要因の多くは未解明である。疾患の発症進展過程には遺伝要因・環境要因と、組織を構成する各種細胞の遺伝子発現状態の変化、それを制御するエピゲノム機構の変化、細胞レベルの蛋白発現・制御状態の変化や細胞間相互作用、組織学的所見の変化、臨床表現型の変化といった種々の変化が不均一かつ重層的に生じるため、疾患の発症進展 メカニズムの包括的に理解するためには、各階層での細胞レベルの高解像度かつ詳細な解析と、それらを統合する多面的アプローチが重要である。 本研究では1)心不全患者心筋を用いた一細胞・一核トランスクリプトーム解析による、病態に関連した遺伝子発現応答及び細胞間相互作用の解析、2)患者心筋を用いた高解像度エピゲノム解析による遺伝子発現制御メカニズムの解明、3)心不全心筋組織の高解像度マルチプレックス探索による細胞/組織状態の時間空間的評価具体を行い、臨床表現型や臨床検査所見、病理組織学的所見、心筋症遺伝子変異解析データを統合し、遺伝子変異・環境要因から細胞応答を経て臨床表現型や疾患の予後へ結びつく多軸解析を行い、心不全の分子病態解明及び病態の層別化、予後予測指標につながる知見の確立を目指している。 現在、ヒト心不全の病態解明及び予後予測指標の確立を目指した、ヒト心筋組織を用いた一細胞解析及び時間空間的解析を継続している。手術症例のサンプルを収集し、症例数を増やしながら順次処理、シークエンス及び解析及び臨床情報の収集を行っている。また空間的解析及び心筋生検検体を用いた解析を行うべく、予備実験を実施、運用に向けた準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で心臓移植など手術件数の減少及び入院や処置の制限がかかったことで臨床検体の収集に予定よりやや遅延が生じたものの、研究の実施には大きな影響が出ない程度のサンプル収集及び実験・処理は継続的に実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りサンプル収集及びシークエンスをすすめる。 今後は心筋生検検体を用いた解析をすすめ、重症心不全のみならずより早期の心不全症例におけるトランスクリプトーム解析及び空間組織学的解析をすすめていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で学会がオンライン開催となり、予定していた学会参加費・旅費が不要となった。一部は試薬購入へ移行したが、残金が生じたため。 次年度の試薬購入資金に充てる予定である。
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