2022 Fiscal Year Research-status Report
梗塞後心リモデリング形成におけるCXCR7関連炎症性細胞の統合的機能解析
Project/Area Number |
21K16048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石塚 理人 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (60897677)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CXCR7 / 心筋梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケモカイン受容体CXCR7は七回膜貫通型受容体にもかかわらず、G蛋白と共役せず、βアレスチンのみと共役する、特徴的なβアレスチン偏向性受容体である。我々の報告で、心筋細胞にそのCXCR7が豊富に発現しており、心筋梗塞モデルにおいて保護的に働いていることを証明した。しかし、その詳細なpathwayの詳細は未知である。本研究は心筋細胞におけるCXCR7の役割を統合的に理解することを目的としている。 我々は、ラット新生仔心筋細胞を単離し、CXCR7を特異的アゴニストTC14012で刺激する系を確立した。また、βアレスチンはG蛋白経路を抑制するとされている。今回、溶媒であるPBSとは別に、β1アドレナリン受容体Gαs経路を活性化させる代表的なリガンドであるノルエピネフリンを対照薬に用いて、3群で心筋細胞を刺激し、遺伝子発現の変化をRNAseqを用いて解析した。主成分解析の結果、TC14012とノルエピネフリンの各々に特徴的な、心筋細胞での遺伝子発現の変化があることが判明した。更に、CXCR7を刺激したことによる心筋細胞での遺伝子発現の有意な変化が確認でき、その主要なpathwayに関しては現在解析を進めている。 ラット新生仔心筋細胞を用いた系とは別に、心筋細胞特異的CXCR7ノックアウトマウスに心筋梗塞を作成したモデルで、心筋梗塞後、時系列で蛋白や組織を解析し、同様のpathwayがあるかを検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回、ラット新生仔心筋細胞を、CXCR7の特異的アゴニストであるTC14012とGαs経路を活性化させるノルエピネフリンで刺激し、遺伝子発現の変化をRNAseqを用いて解析した。我々は心筋梗塞マウスでのCXCR7の保護的役割を既に報告しており、CXCR7の下流には細胞死抑制や細胞生存に関わるpathwayがあると考えていた。しかし、得られたTC14012による心筋細胞の遺伝子発現の変化は、細胞骨格や代謝等に関連しており、これまでの実験で想定された経路と異なっていた。そのため、追加解析を行って別のpathwayを模索し、検証のための新たな実験系を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット新生仔心筋細胞のCXCR7を刺激したことによる遺伝子発現の変化を、RNAseqにより解析を進め、下流のpathwayを模索する。その結果を、今度は心筋細胞特異的にCXCR7をノックアウトしたマウスを用いて証明する。遺伝子発現の変化だけでなく、蛋白発現や組織変化を含め、統合的に解明していく。
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Causes of Carryover |
ラット新生仔心筋細胞を用いてCXCR7を刺激し、遺伝子発現の変化をRNAseqで解析した結果、想定とは異なるpathwayが示唆されたため、追加解析を進めつつ新たな実験系を考案する必要があり、その準備が間に合わなかったため、次年度において使用する予定である。
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