2021 Fiscal Year Research-status Report
ストレス刺激に対する遷延性交感神経活動増強応答におけるグリア細胞の役割の解明
Project/Area Number |
21K16053
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
河野 洋介 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00747454)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 循環調節 / ストレス / 高血圧 / 遷延性応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
高血圧症は心血管疾患の最大のリスク因子であるが、本態性高血圧発症のメカニズムは明らかでない。身体的あるいは精神的ストレスを受けると血圧上昇・心拍数増加といった循環応答が惹起されるが、ストレス消失後にもこれらの循環応答が遷延する場合には、将来、高血圧を発症するリスクが高まることが報告されている。 研究代表者は、これまでに摘出視床下部脳幹脊髄標本を用いた膜電位イメージング法により、視床下部背内側核への電気刺激が、吻側延髄腹外側野や吻側延髄腹内側野・尾側延髄腹外側野・延髄縫線核といった、延髄腹側循環調節領域における興奮を惹起させることを示した。また、視床下部背内側核におけるテタヌス電気刺激はそれらの延髄腹側循環調節領域における遷延性興奮を惹起することを明らかにした。神経トレーサーを用いた神経解剖学的検討では、視床下部背内側核の神経細胞が延髄腹側の吻側延髄腹外側野や吻側延髄腹内側野・尾側延髄腹外側野・延髄縫線核へ投射していることを明らかにし、また、視床下部背内側核の神経細胞に注入した順行性神経トレーサーは、延髄腹側の交感神経中枢においてチロシンハイドロキシラーゼ陽性細胞近傍に分布することを明らかにし、これらの実験の成果を報告してきた。 このように、ストレスによって惹起される循環応答の遷延は高血圧発症に関与することが示唆されているが、どのように遷延性応答が惹起されるのかについては十分に解明できていない。そこで我々は、神経科学の分野でその機能が注目されつつある、グリア細胞の役割に着目している。本年度は、グリア細胞のうち、マイクログリアに焦点をあて研究をおこなった。マイクログリアの活動を抑制する薬剤を投与し、低酸素負荷に対する呼吸・循環応答を無麻酔非拘束下に観察した。これらの知見について、学術誌への報告を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたカルシウムイメージング法については、実験手技の獲得に難渋しており、研究が停止している。一方で、マイクログリアに着目した生理学的検討を行うとともに、学術誌への報告準備を行っており、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの生理学的実験で得られた知見を総括し、ストレス負荷時の遷延性応答の機序の解明を主方策とし研究をすすめていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していたカルシウムイメージング法の実験手技の獲得に難渋しており、本手技による実験を進めることができず、差額が生じた。次年度は引き続き本手技の確立を目指すとともに、これまでに得られた知見および近年の報告を総括し、研究を進めていく。
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