2021 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞由来右室心筋を用いたBrugada症候群の病態解析
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21K16057
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
斎藤 幸弘 岡山大学, 大学病院, 医員 (20724454)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 右室心筋細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトES細胞およびiPS細胞から心筋細胞を高効率に誘導する方法は確立され、様々な心疾患モデルに応用されているが、その心筋細胞が左室様なのか右室様なのかは明らかではない。さらに、左室様心筋細胞と右室様心筋細胞を別々に誘導する方法も確立されていない。 心疾患の中には、右室優位に傷害されることが知られているBrugada症候群や不整脈源性右室心筋症があり、左室様心筋細胞と右室様心筋細胞を作り分ける方法は、iPS細胞由来心筋細胞を用いた病態モデル解析には必要である。 今回の研究で、ヒトiPS細胞から心筋細胞を誘導する一般的なプロトコール(Lian et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2012)の分化初日に、ある一種類の化合物を加えると、NKX2-5陽性・TBX5陰性・CXCR4陽性心臓前駆細胞が誘導され、過去の文献データ(Andersen et al. Nat Commun. 2018: Zhang et al. Cell Stem Cell. 2019)からこれらの細胞は右室の源となる二次心臓領域と考えられた。さらに、この心臓前駆細胞からは、分化した細胞の約70%がcardiac troponin T陽性の心筋細胞であった。これらの心筋細胞は、NKX2-5陽性・TBX5陰性・CCK陽性・MLC2v陽性であり、右室様心筋細胞と考えられた。コントロールの心筋細胞と比較して、自律拍動数が低い、細胞サイズが大きい、サルコメア形成が乏しいなどの明らかに異なる特徴を認めた。結果を第25回日本心不全学会学術集会(岡山、2021年10月)および第86回日本循環器学会学術集会(神戸、2022年3月)で発表し、現在論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常人由来iPS細胞で右室様心筋細胞を誘導する方法を確立することができた。現在Brugada症候群患者由来iPS細胞から、同様に右室心筋細胞を誘導し解析する準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
Brugada症候群患者由来右室様心筋細胞を用いて疾患に特徴的な所見を探索する。iPS細胞由来心筋細胞の一般的な問題点として、未熟性があげられる。病態モデルにおいても未熟性を克服することで、病態に特徴的な所見を認めることがあるため、右室様心筋細胞の成熟度を高めることも必要である。
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