2021 Fiscal Year Research-status Report
CRISPR screening for mitophagy regulation and its Application to therapy of heart failure
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21K16062
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
樋口 雄亮 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (50883089)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイトファジー / 低酸素環境 / CRISPRスクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全は高齢化社会においてその患者数の増加と医療費の増加が大きな問題となっている。また、心不全の死亡率は診断から5年で50%であり悪性腫瘍の死亡率と同等かそれ以上とも報告されている。このことは現行の治療では心不全治療は不十分であ り、新たなメカニズムによる治療の必要性を表している。心筋細胞はその筋収縮に多くのエネルギーを必要としており、エネルギー源としてミトコンドリアが重要である。機能低下をきたしたミトコンドリアは最終的にはオートファジー 機構で分解され、これはマイトファジーとして知られている。 心不全の要因は虚血性心疾患・弁膜症を始めとして様々挙げられるが、これらは局所心筋虚血が大きく関与していることが明らかとなっている。マイトファジー誘導経路はPINK1-Parkinが関与する経路が分子メカニズムも含め詳細に知られている。一方で、心不全治療の有効な標的になりうるであろう低酸素状態におけるマイトファジーの誘導においては主要な原因遺伝子や分子メカニズムについては十分に理解されていないため、本研究ではその機序や原因遺伝子の解明を目指した。 mito-Keimaを用いたマイトファジーを評価するアッセイ系とCRISPRライブラリを用いることで低酸素刺激におけるマイトファジーを抑制する遺伝子を同定した。その遺伝子のノックアウトや過剰発現モデルではそれぞれ、マイトファジーを抑制・増強することが示された。また、そのメカニズムの一つとして遺伝子内におけるLC3認識配列(LIRモチーフ)が影響している可能性が示唆された。 以上から、今後LIR配列の変異が低酸素下マイトファジーに与える影響に加え、ミトコンドリア機能や予備能を評価する研究を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画として心筋細胞特異的な遺伝子ノックアウトマウスと過剰発現マウスの作成を検討していたが、In Vitroでの細胞実験におけるミトコンドリア機能への影響等が十分に評価できていないこともあり、マウスの作成を延期している状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方法としては大きく2つを進めていく。 1.低酸素刺激におけるSlc25a11によるマイトファジー制御機構の解明とミトコンドリア機能への影響 2.心不全モデルマウスにおける機能評価 1.に対してはBioID (近位依存性ビオチン標識法)を行うことで相互作用するタンパク質の同定・細胞内局在の解析を行う。具体的には低酸素刺激時と非刺激時における相互作用するタンパク質の違いからマイトファジー制御の際に関与するタンパク質を網羅的に評価することで関与するシグナル経路の推測にも役立つと考える。また、標的遺伝時のノックアウトや過剰発現を行った際のミトコンドリア機能や予備能の評価を細胞外フラックスアナライザーを用いて行う。 2.に対しては生体での機能評価を行う目的で、AAVを心筋に導入することで、ノックダウンまたはノックアウトや過剰発現を行い、心不全モデルを用いて生体内での心不全における保護効果を含め検討を予定する。
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Causes of Carryover |
BioIDに関する質量分析の外部委託費用として予定していたが、コロナによる学位取得の遅延により解析用サンプルの作製遅延が生じたために解析が次年度に持ち越しとなった。次年度の使用計画としては、質量分析委託費用やその結果に対する更なる解析に使用する試薬の購入に当てる予定としている。
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