2023 Fiscal Year Research-status Report
大動脈弁狭窄症の病態に影響するHDL機能(コレステロール引き抜き能)の検討
Project/Area Number |
21K16066
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
船水 岳大 順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤助教 (60896760)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 大動脈弁狭窄症 / 石灰化 / HDLコレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化が著しく進むわが国では、加齢とともに進行する大動脈弁狭窄症の罹患数は増加しており、その医学的重要性は明らかに増している。しかし、大動脈弁狭窄症の病態メカニズムの多くは解明されておらず、その進行を予防したり改善しうる介入方法はない。近年開胸をせずに経カテーテル的に施行できる経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)が導入され、高齢者など開胸のリスクが高い症例に対しても施行され、大動脈弁置換の適応拡大に寄与している。しかしながらTAVIも対症療法であって根治療法ではなく、大動脈弁狭窄症に対してその進行を抑制しうる介入方法の開発は急務である。 動脈硬化と大動脈弁狭窄症はこれまでその病態もまったく別個のメカニズムとして検討され、横断的に検討されることはほとんどなかった。また、余剰コレステロールを回収するHDLの機能が動脈硬化の中でも動脈石灰化にどのような影響を及ぼすか、さらに大動脈弁狭窄症の病態や大動脈弁石灰化への影響については検討されていない。 大動脈弁狭窄症に対してTAVIを施行した患者の臨床データベースの作成と予後データの更新を行った。またTAVI術前のCTを用いて、大動脈弁・下行大動脈・冠動脈石灰化をAgatston scoreで定量化した。 大動脈弁石灰化スコアと相関するさまざまな骨代謝マーカーや動脈石灰化関連因子をEnzyme-Linked Immuno Sorbent Assayを用いて測定を行った。 HDLの機能と大動脈弁、下行大動脈、冠動脈石灰化スコアとの相関を検討した。 上記の検討結果を米国で行われたInternational Vascular Biology Meetingで報告を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TAVIの症例数は予定通りの推移となっている。また臨床データベースの作成と予後データの更新は予定通りできた。一方でHDLによるコレステロール引き抜き能の測定に必要な試薬の入手が一部困難となっていることから、進行がやや遅延している。現在大動脈弁石灰化に寄与する新たな因子の測定を開始しており、実験追加のための時間を要する。
|
Strategy for Future Research Activity |
HDLの機能と大動脈弁、下行大動脈、冠動脈石灰化スコアとの相関を検討した。米国で行われたInternational Vascular Biology Meetingで報告を行なった。測定を開始した新たな因子と大動脈弁石灰化スコアの相関を今後検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
HDLコレステロール引き抜き能の測定に用いる試薬が一部入手困難となったため。 学会発表や研究物品費への使用として2000000円程度の使用を予定する。
|