2021 Fiscal Year Research-status Report
カテーテルアブレーションが心房周囲脂肪および脂肪浸潤に及ぼす経時的変化
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21K16071
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渡邉 隆大 日本大学, 医学部, 専修医 (70899129)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心房細動 / 心臓周囲脂肪 / カテーテルアブレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎えた本邦において、心房細動(AF)は増加の一途を辿っている。病期の初期である発作性AFに対するカテーテルアブレーションによる肺静脈隔離術の有効性と安全性は確立されている。しかしながら、心房筋障害(リモデリング)が進行した持続性AFに対するアブレーション後のAF再発率は高い。研究代表者所属機関は従来から、リモデリングの主因として、メタボリック症候群や心房の心臓周囲脂肪(epicardial adipose tissue: EAT)や心房壁への脂肪浸潤に着眼しており、術前CTで測定されたEAT量はAFアブレーション後の強力な再発因子であることを明らかにしている。しかしながら、術後の食生活や日常活動量によるこれらのパラメータの経時的変化と術後再発の関係は明らかでない。本研究では、術前および術後1年に、体組成計を用いた体組成(体重、筋肉量、脂肪量)、炎症性バイオマーカー、心臓CTのEAT量を測定し、さらに独自の方法により心房壁への脂肪浸潤を推定する。各種パラメータの経時的変化と術後再発を評価することで、術後の生活習慣が再発に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。 当該年度には、本研究を研究施設の倫理委員会へ提出し、研究の許可を得た。その後、研究施設で患者登録を開始している。登録を行った患者に対して、アブレーション前のCT撮影、体組成の計測、炎症性バイオマーカーの測定を行った。また、アブレーションが終了した患者に対しては、術後のフォローアップを開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、カテーテルアブレーションを予定しているAF患者150例を目標とした。術前情報として、①単純および造影CT画像撮影②入院中バイタル、体組成の測定、③血液検査:血糖値、HbA1c、脂質系profile、肝腎機能、高感度CRP、メタボリック関連血液生化学的マーカーの測定、④心臓超音波検査を取得する予定である。 術後3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月追跡し、AF再発の有無をイベント心電図、ホルター心電図で評価する。1年後の外来にて、1週間の血圧、脈の情報を取得する。術前情報と同様の①~④の情報を取得する。再発群と非再発群における術前ならびに術前から1年における①~④の各種パラメータの変化量との関連性を評価する。 再発群、非再発群における術前情報と、1年における変化量をt検定で検定し、再発の有意因子を同定する。再発は150例中20~30%程度、30~40例と想定されるため、最低3~4個の有意因子を多変量Coxハザード解析で検定し、再発独立因子を同定可能と考えている。 研究実施計画では、令和3年に患者登録を行う予定であった。登録目標としては上記のように150例としていた。本研究の倫理委員会への提出は速やかに行ったが、審査が通ったのが令和3年5月であった。そのため、予定よりも患者登録が遅れてしまった。さらに、令和3年度は、世界的な新型コロナウィルス感染症の影響で、研究施設への入院が例年と比較して激減してしまった。そのため、令和4年3月末の時点で患者登録は約80例と遅延が生じてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように本研究の患者登録は遅延してしまっている。その一方で、新型コロナウィルスの影響は徐々に改善しており、患者登録は今後改善することが見込めると考えている。また、登録した患者は、令和4年3月時点で術後のフォローアップに大幅な脱落なく、順調に患者情報を収集することができている。 令和4年6月には、一部登録患者の術後12か月目のフォローアップが完了する予定である。例年9月頃に国際学会である日本循環器学会学術集会の演題登録が行われる。そのため、本研究の途中経過を、令和4年9月に第87回日本循環器学会学術集会の演題登録する予定である。さらに、フォローアップの完了した患者数の増加が見込める令和4年末に、世界最大規模の不整脈領域における国際学会である米国不整脈学会へ、追加解析を行った上で演題登録を行う予定である。 令和5年にはフォローアップを終了し、最終解析し論文投稿を行うことを目標とする。
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Causes of Carryover |
令和3年度は新型コロナウィルス感染症のため、国際学会への参加が不可能であった。そのため、予定していた旅費を使用することがなかった。また、本来購入予定であった研究機器も、世界的な半導体不足のため購入することが叶わかなった。ワクチン接種が拡大し、新型コロナウィルスの影響が改善すると予想される令和4年度には、旅費・および購入費いずれも必要となると考えている。 令和4年度は、購入できなかった物品を入手する予定である。また、令和4年度は、新規登録と術後フォローアップする患者の両方が存在するため、体組成測定の際に必要な専用用紙等の消耗品が令和3年度と比較して増加する見込みである。
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