2023 Fiscal Year Annual Research Report
肺高血圧症を標的とした左室駆出率の保たれた心不全の多角的・包括的病態解明
Project/Area Number |
21K16078
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小保方 優 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10746770)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 左室駆出率の保たれた心不全 / 肺高血圧症 / フェノタイピング / 運動負荷試験 / 右心カテーテル検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)もしくは肺動脈性肺高血圧(PAH)が疑われて, 確定診断目的に運動負荷右心カテーテル検査を予定している症例を対象とし、HFpEF患者をクラスター分析によって層別化することを目的とした。3年で150例の患者の組み入れを予定したが、結果的に93例の患者を組み入れた。疾患の内訳として、HFpEFが58例、PAHが6例、非心不全・非PAHのコントロール例が23例、他疾患のための除外例が6例(収縮性心膜炎2例、重症僧帽弁閉鎖不全症が2例、その他2名)とであった。患者情報、安静時心エコー所見、安静時、運動負荷時の血行動態指標、アドレノメデュリンを含めたELISAによるバイオマーカーによってHFpEF患者のクラスター解析を実施したが、非HFpEF患者、除外例が多くなり症例数が少なくなってしまいモデルの構築が困難であった。 このため、運動負荷心エコー検査を実施した265例のHFpEF患者に対象を拡充してクラスター解析を適応した。クラスター解析は10個の臨床指標と11個の運動負荷指標を使い、K-prototype法によって実施した。結果的に、HFpEF患者を3つのフェノタイプに分類できた。フェノタイプ1は両心室の収縮性が保持され、心拍出予備能も保持されているHFpEFで、フェノタイプ2は心房細動が高頻度で、運動中に肺動脈圧、右房圧が上昇し、右室-肺動脈カップリングが異常になるHFpEF、フェノタイプ3は体格が最も小さく、心室と血管の硬さが運動によって悪化し、拡張予備能が悪く、運動耐容能が低下したHFpEF。フェノタイプ2と3はフェノタイプ1に比べて生命予後が不良であることも明らかとなった。本研究論文はJ American Society of Echocardiographyにアクセプトになった。また、サブ解析論文についても研究論文を報告した。
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