2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K16085
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平岩 宏章 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10844904)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 心不全 / 心脾連関 / 脾臓容積 / 脾臓容積指数 / 心拍出量 / 交感神経活性 / 血中ヘモグロビン / 運動耐容能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、心不全における脾臓の未解明の役割、特に多臓器連関の中での脾臓の機能多様性を探索し検証することで、心不全における新たなバイオマーカやモニタリング、治療法の開発へ繋げることを目指した研究である。 これまでに申請者は、左室補助人工心臓(LVAD)を要する重症心不全で、脾臓容積は増大し、LVAD不良による心不全増悪に伴い脾臓容積は速やかに減少することを報告し、重症心不全において脾臓は有効循環血漿量を調節している可能性を示した。また、脾臓容積はLVAD装着患者の拍出指数(Pulsatility Index)と関連し、自己心拍出量に寄与している可能性を示した。 さらに、脾臓容積と運動耐容能の関連について検討した。運動耐容能指標である最高酸素摂取量(PeakVO2)に影響を与える因子の相関・因果関係を共分散構造解析(SEM)を用いて検討し、脾臓容積はLVAD装着患者の血中ヘモグロビンを介して、PeakVO2と関連することを示した。 また、慢性心不全患者219人のデータを後ろ向きに解析し、脾臓容積と予後の関連について検討した。 患者集団は、年齢54歳、男性66%、NYHA3が9%、LVEF42%であった(中央値)。主要アウトカムは、複合心臓イベント(心臓死および心不全増悪入院)とした。結果、脾臓容積の中央値は、118.0mLであり。脾臓容積指数(SVI)は心拍出量および一回心拍出量と正の相関を示し、全身血管抵抗とは負の相関を示した。心イベント予測のための最適なSVIのカットオフ値は68.9 mL/m2であり、低SVI 群は高SVI群よりも、心イベントが多かった。 現在、ここまでのまとめとして、The cardiosplenic axis: the prognostic role of the spleen in heart failure と題したReview論文を作成し投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、心不全患者における脾臓容積と血行動態、運動耐容能、予後との関係を、臨床データを用いて検討した。その結果、特に心不全においては神経体液性因子および交感神経活動の活性化に伴い、その大きさを変化させ、構造的リモデリングを生じ、有効循環血漿量を調節している可能性が示唆された。すなわち心脾連関において、マクロの視点から脾臓の役割の一部を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究内容として、ミクロの視点から心脾連関のメカニズムについて検討する方針である。すなわち、構造的リモデリングを生じた脾臓は機能的リモデリングを来し、脾臓からマクロファージや単球などの免疫細胞が血液中に放出される。脾臓由来の免疫細胞は、心臓に対して、ポジティブな作用とネガティブな作用の両方を示す可能性がある。例えば、心臓固有のマクロファージと脾臓由来のマクロファージのバランスが心不全における慢性炎症の持続に影響を及ぼしている可能性がある。これらのメカニズムを、動物モデルを用いて検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、当初予定していた動物モデルでの実験等が未達成であったため、結果として実支出額が所要額を下回ったためである。 助成金全体を用いて、心不全における心脾連関についてのReview論文の作成を行うとともに、動物モデル等を用いた基礎医学的アプローチによる心脾連関メカニズムの解明を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Relationship between spleen size and exercise tolerance in advanced heart failure patients with a left ventricular assist device.2022
Author(s)
Hiroaki Hiraiwa, Takahiro Okumura, Akinori Sawamura, Takashi Araki, Takashi Mizutani, Shingo Kazama, Yuki Kimura, Naoki Shibata, Hideo Oishi, Tasuku Kuwayama, Toru Kondo, Kenji Furusawa, Ryota Morimoto, Takuji Adachi, Sumio Yamada, Masato Mutsuga, Akihiko Usui, Toyoaki Murohara
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Journal Title
BMC Res Notes.
Volume: 15
Pages: 40
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Splenic size as an indicator of hemodynamics and prognosis in patients with heart failure.2022
Author(s)
Hiroaki Hiraiwa, Takahiro Okumura, Akinori Sawamura, Takashi Araki, Takashi Mizutani, Shingo Kazama, Yuki Kimura, Naoki Shibata, Hideo Oishi, Tasuku Kuwayama, Toru Kondo, Kenji Furusawa, Ryota Morimoto, Toyoaki Murohara
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Journal Title
Heart Vessels.
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Clinical significance of spleen size in patients with heart failure2021
Author(s)
Hiroaki Hiraiwa, Takahiro Okumura, Akinori Sawamura, Toru Kondo, Takashi Araki, Takashi Mizutani, Shingo Kazama, Yuki Kimura, Naoki Shibata, Hideo Oishi, Tasku Kuwayama, Kenji Furusawa, Ryota Morimoto, Toyoaki Murohara
Organizer
ESC Congress 2021
Int'l Joint Research
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